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(安室視点)





「あれ、安室さんは入らないの?」




現在時刻は七時二十分を過ぎたあたり。


俺たちは朝食をとるため十一人揃ってレストランへやって来ていた。




俺だけがレストランに入らず入り口付近で止まると、それを目ざとく見つけたコナンくんが不思議そうに尋ねる。


彼の声で他の人々も俺の様子に気づいたらしく、首を傾げていた。




「おいおい、八時半には現場に戻らなきゃならねえんだからな?」

「大丈夫ですよ毛利先生。僕はここで人を待ちますので、どうぞ先に召し上がっていてください。」




俺がそう言うと、聡いコナンくんはすぐに俺の待ち人を察したらしい。


無邪気な声で「僕も待つ!」と宣言すると、レストランから飛び出そうとした。




しかし、その小さな体はレストランを抜け出す前にひょいと持ち上げられる。




「ちょっ!蘭姉ちゃん!?」

「ダメよコナンくん、先に行きましょ?」

「で、でも僕も安室さんと……」

「ダメったらダメよ!––––––ったくいつもいつも人の色恋に首突っ込むわねこのガキンチョ!」

「え?色恋?」




コナンくんがポカンとした顔で園子さんを見る。


対する園子さんと蘭さんは俺の方を見ると、頼もしい表情でありながら少しだけ頬を赤く染めて、グッと親指を立てた。


「コナンくんは任せておけ」と言われた気分だ。


俺は苦笑して礼を言った。


俺が昨日彼女たちに言った言葉を覚えていたようだ。









そのまま一人で待つこと十分。


待ち人はついにやって来た。




「おはようございます、千佳子さん。」




俺が彼女の“名前”を呼ぶと、彼女は少し居心地が悪そうにした。




「…………おはよう。安室、さん。」




たっぷり間を置いて言われた挨拶。


それすらも微笑ましく感じてしまって、俺は笑った。

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作者名:しま | 作成日時:2018年4月29日 21時

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