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コンコン、と部屋の扉がノックされる。
私はびくりと体を震わせて息を潜めた。
時刻は午後十時。
夕食を食べていないことに気づいたがこの際どうでも良い。
それよりも今は、この夜の来客をどうやり過ごすかを考えねば。
(絶対コナンくんだし…)
こんな夜遅くにやって来るなんて、蘭ちゃんとかに止められなかったのか?
私は一人部屋だけどコナンくんとかは流石に違うよな…?
私はとにかく音を出さないように気をつけて、時が過ぎるのを待った。
・
30分ほどが経った。
結局ノックは一度されたのみでその後はまったく音沙汰なし。
一度だけ試して帰ったのだろうか?
まあ一応夜更けだし、あちらも遠慮したってことかな。
そう思ったが少し気になって、そろりとベッドから抜け出し靴を履く。
扉の前までやってきて耳を澄ませるが何も聞こえない。
流石にもういないか。
(…レストランってまだやってるかな。)
立ったついでに夕食を済ませに行こう。
この時間なら人もまばらのはず…
そう思って扉を開けると、
「こんばんは。」
扉の向こうに安室透が立っていた。
(へっ。)
驚きすぎて声が出なかった。
予想外すぎて頭が真っ白になる。
私が硬直してる間にも安室さんは私をじっと見下ろしていた。
えっ何しにきた……?
マジでなんでいる??
もしかしてさっきのノック安室さんだった?
………それにしても………
(久しぶりに見た…まずいトキメキがやばい)
あっちょっと時間くださいね。
混乱しすぎて訳わからん私は無言で部屋に引っ込もうとした。
まあ、勿論それは安室さんにより妨げられた。
ガッと扉に手をかけてこじ開けられる。
ドアノブに手をかけていた私は、それに引っ張られる形でバランスを崩し、小さな悲鳴とともに前方に倒れかけた。
安室さんは倒れこむ私を易々と受け止め、そのまま私の耳元に口を近づける。
「お久しぶりです、メルロー。」
あっ(惚)
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作者名:しま | 作成日時:2018年4月29日 21時