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(コナン視点)
何故はぐらかされたのかは分からないが、重要なのはそこじゃない。
安室さんが言い切るのであれば、それはきっと真実なのだろう。
「…じゃあメルローとしての顔が、変装なしの素顔だったんだね。」
「あ、ああ。」
俺が深く追求せずそう言うと、安室さんはホッとした表情を浮かべた。
そういう表情をされると逆に問い質したくなるが、今は堪えよう。
俺が「他の情報はないか」と尋ねると、安室さんは少々思案顔をしてから答える。
「あとはフェリス・ナッシュの細々とした個人情報だよ。組織も特に注視しないくらいのね。」
ならば聞かなくても良いかと一瞬思ったが、一応聞くだけ聞いてみることにした。
・
フェリス・ナッシュはイギリス人女性と日本人男性の間に生まれたハーフで、現在はおそらく二十代後半。
MI6は彼女を死亡者扱いしているが、組織は端から信じていない。
母の名はエミリア・Z・ナッシュ。
父親は不明。
「不明?」
「フェリスが母方の姓を名乗っているから、両親はおそらく事実婚。その場合父と子の親子関係は成立しないから、実質フェリスには父親がいないということになる。だから父親の方が中々割り出せないんだ。」
「そうか…じゃあ今、フェリスが身を寄せるとしたら、父親のところの可能性が高いね。両親が婚姻届を未提出で親子関係がないんだから、簡単には見つからない。」
「ああ。母の方は、頼ろうにも既に亡くなっているようだからな…」
「え、そうなの?」
「以前、直接聞き出したことがあるんだ。嘘はついてないと思うよ。」
なるほど、だいたい分かってきた。
フェリスはMI6から組織に潜入・機密情報の入手を遂げた後、組織を離脱。
手に入れた記憶媒体を守り通すため、単身で逃亡中。その任務中、MI6は彼女を死亡したものとして処理。
そしてその逃亡期限は残りわずか。
今は単身で過ごすか、父親のもとに身を寄せている可能性が高い。
「父親を割り出せたら、案外すぐに見つけられるかもね。」
「どうかな…彼女、人を軽くあしらうのが生きがいみたいなところがあったから、一筋縄ではいかないかもね。」
安室さんは懐かしそうに表情を和らげる。
随分と親しみを込めて話すんだな、と感じた。
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作者名:しま | 作成日時:2018年4月22日 16時