爆裂ワガママお嬢様が前世を思い出したら (ページ46)

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(コナン視点)

「あれ、コナンくん？どうしたんだい？」

俺がひとりでポアロに来店すると、安室さんは不思議そうに首を傾げた。

それもそのはず。

外はもう日が沈んでいて、店には既に「closed」の看板が掛かっている。

店の中は明かりを絞っているのか、いつもより薄暗い。

梓さんやマスターの姿はなく安室さんだけがそこにいた。

「ちょっと安室さんとお話ししたくて。」

安室さんは怪訝そうにしたが、俺から目をそらして店の清掃を再開する。

「…へえ、何かな？聞いてあげたいけどもう遅い時間だし、蘭さんも心配するんじゃないかな。」

「大丈夫！蘭姉ちゃんは空手の合宿で家にいないから！」

「でもねえ、もう子どもは寝る時間だよ。店も鍵をかけるし、お話をする時間は–––––」

「コードネーム・メルロー。」

安室さんの動きが止まる。

「組織の最重要機関・情報統括室の室長で、ボスからの信頼も厚い幹部だったが、その正体は安室さんと同じNOCだった。一年程前、彼女は組織の記憶媒体を盗み出して組織を離脱。その後行方不明となる…」

これで合ってるよね？

安室さんはしばらく無言で俺を見下ろしていたが、態とらしく大きなため息をつくと、苦笑してカウンター席に座った。

俺もひとつ分の席を空けて彼の隣に座る。

「誰に聞いたんだい？僕はコードネームを伝えただけだったと思うけど？」

「まあ企業秘密ってことで。そういう訳だから、安室さんが掴んでる情報を教えてよ。」

「全く、恐ろしい子だな君は…」

安室は困ったような笑顔を見せた後、これは組織も掴んでいる情報だけど、と前置きして話し始めた。

「本名は『フェリス・ナッシュ』。イギリス国籍を持つ女性でMI6に所属していたと思われる。」

「MI6…！」

イギリスの情報機関のひとつで、その任務の中には秘密情報の収集・情報工作も含まれる。

メルローはイギリスの諜報員だったのか。

しかしそうなると…

「メルローは東洋系の顔立ちで、髪も黒かったって聞いたんだけど…それは変装だったってこと？」

「いや、それはないよ。少なくとも顔は変装マスクなんかじゃなかった。」

俺は「なんで言い切れるの？」と尋ねた。

純粋に疑問に思ったからだ。

すると何故か安室さんはきょとんとした表情を浮かべた。

次に、気まずそうに目を泳がせる。

「あー…いや、とにかく信じて良い情報だよ。」

なんかはぐらかされた。