爆裂ワガママお嬢様が前世を思い出したら (ページ43)

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(コナン視点)

「なっ！？」

俺は思わず椅子をガタッと倒して立ち上がった。

それじゃあ、メルローによって盗まれた情報は消されることなく生きている！

つまりその情報をもとに、黒ずくめの男達の巣を袋叩きにすることも可能なのではないか。

俺の頭にそんな考えがよぎったことを察したのか、灰原は首を横に振った。

「まだXデーの説明が終わってないわ。」

「あ、」と間の抜けた声を出してしまった。

そうだった、俺は『Xデー』についての話を聞こうとしていたんだった。

それでも俺は立ち上がったまま、灰原の言葉に耳を傾ける。

「用心深い組織は、重ねてプログラムを組んでいたの。パスワードやトラップが突破され、ファイルが開かれた瞬間に起動するプログラムを…」

「おいおい…まだあんのかよ！？」

用心深すぎてなんだか苛立ってきた。

奴らのボスとやらは余程の慎重居士らしい。

石橋を叩きすぎて壊すタイプだな…

「ええ…そのプログラムの内容は、【ファイルを開くと即座に強制終了する】というもの。」

「何だよそれ！意味ねーじゃねえか！」

「いいえ、そうでもないわ。そのプログラムは起動できる時間に限りがあるのよ。」

起動する時間に、限りがある？

それはつまり……その制限時間が経過すれば、ファイルが開けるようになるということだ。

「その時間って、何時間だ！？」

俺は灰原の肩を掴んで、思わず怒鳴るようにして尋ねてしまう。

灰原は取り乱すことなく静かに、8760時間、と答えた。

「8760時間……？」

「ええ。最初にファイルを開いた時刻から8760時間……つまり一年が経過すれば、ファイルは閲覧可能になる。」

「一年後……待てよ、メルローが組織を抜けたのって……」

俺の呟きに、灰原はこくりと頷いた。

「一年ほど前。正確に言えば……ちょうど、十一ヶ月前かしら。」

–––––––。

そうか、そういうことか。

灰原の言うXデーとは、つまり……

今から、ちょうど一ヶ月後。

メルローが持ち出した組織の機密データが、丸裸になる日だ。