爆裂ワガママお嬢様が前世を思い出したら (ページ42)

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(コナン視点)

「一ヶ月後の…Xデー…？」

理解が及ばず言葉を反復した俺に、灰原がこくりと頷く。

「その話をする前に……この間言ったわよね。盗み出された記憶媒体には様々なトラップが仕掛けられているって…」

「あ、ああ…コンピューターウイルス・闇の男爵(ナイトバロン)か…」

発見することも止めることも出来ない完璧なプログラム。

それがコンピューターウイルス・闇の男爵(ナイトバロン)だ。

以前、俺たちはAPTX4869の薬のデータが入ったフロッピーを手に入れたものの、あのウイルスのせいで情報を掴み損ねたことがある。

今思い出しても忌々しいウイルスだ。

「持ち出された記憶媒体には、以前私たちも煮え湯を飲まされた、あのプログラムが組まれていたはず。」

「組織のコンピューター以外で立ち上げるとウイルスが発生し、データを消去してしまうっていうあれだな？」

「ええ。…それで、ここからは私もジンから聞かされただけなんだけど…」

灰原は顎に手を当てて必死に記憶を掘り起こしているようだ。

俺は思考の邪魔をしないよう、固唾を飲んで待った。

灰原は、おぼつかない記憶を頼りに、途切れ途切れになりながらも話し始めた。

情報統括室で管理される記憶媒体は、組織のコンピューターで立ち上げる分にはなんの問題もない。

それが外部に持ち出され、組織のコンピューター以外で立ち上げてしまうと、ウイルスでたちまちデータを消去されてしまう。

ここまでは、構成員に配給されるフロッピーやディスクと同じプログラムだが、情報統括室で扱われる記憶媒体はさらに先がある。

「もし仮に…万が一、ウイルスによってデータが消去されなかった場合に備え、保存ファイルのひとつひとつにパスワードロックと多数のトラップが組まれているらしいわ。そしてパスワードに引っかかるか、トラップをひとつでも踏んだ場合、そのパソコンを特定できるシステムを備えているって…」

「それなのに、バーボンやベルモットにメルローの情報収集をさせてるってことは…」

「ええ…信じ難いけど、組織はいまだにメルローの行方を掴めていない。つまり、メルローはウイルスの発生を食い止め、莫大な数のトラップを完璧に突破し、パスワードにも引っかかることはなかった…ということになるわね。」