爆裂ワガママお嬢様が前世を思い出したら (ページ41)

今日:156 hit、昨日:216 hit、合計:2,184,654 hit

39 ページ41

(コナン視点)

あのパーティーから一ヶ月後。

最近Aさんの姿を見かけないと思っていたら、一ヶ月前に海外旅行に行ったとの情報を得た。

しかも何ヶ月か向こうに滞在するらしい。

俺ははあ、とため息をついた。

「そんな長期の旅行に行くなら、一言くれても良くねえか？」

阿笠邸にて不貞腐れる俺に、パソコンに向かう灰原が視線を向けることなく尋ねる。

「あなたたち、連絡先は交換してるの？」

「してねえけど…」

「じゃあ無理に決まってるじゃない。」

無理ということはないだろう。

だがまあ、確かにいきなり事務所に押しかけてきて「旅行に行ってきますわ」とか言われても正直「へえ」としか答えられない。

俺はあっさりと納得して話題を転換した。

「そうだ灰原。ちょっと聞きてーことがあるんだが…」

「…どうせメルローのことでしょう？」

「ああ、よくわかったな。」

にやりと笑った俺にちらりと視線を向けた灰原は、再び大きなため息をついた。

・

「メルローの容姿について教えてくれ。」

そう切り出した俺に、灰原は怪訝な顔をする。

「まさか彼女を探すつもり？」

「別にそういうわけじゃねえけどよ。偶然遭遇するって可能性もあるだろ？…つーかこの間も気になったんだが、メルローって女なのか？」

灰原はパソコンを操作する手を止め、くるりとこちらを向いて話し始めた。

「そう、メルローは二十代の女。東洋系の顔立ちで、肩までの黒い髪、同色の眼鏡をかけていたかしらね。」

「本当の所属は？」

「私が組織にいた頃は、まだ特定されていなかったはずよ。」

「じゃあ、当然本名も割れてねえな…」

「ええ。現段階ではどうか知らないけど。」

なんだか釈然としない。

組織の最大機密を盗まれたにしては、悠長に構えすぎじゃないか？

「なんでもっと血眼になって探さないんだ？奴ら、お前が組織を抜けたときは本腰を入れて探してただろ。」

「あら、組織は焦っているはずよ？だからこそ探り屋としての能力が高いバーボンや、諜報活動にかけては右に出る者がいないベルモットが捜索を命じられてるんでしょうし。」

「だから、なんでメルローが情報を盗み出してから一年たった今になって、焦りだしたのかって話だよ。」

灰原は少しの間考え込んでいたが、「にわかには信じがたいことだけど、」と呟くようにして言う。

「一ヶ月後のXデー…おそらく組織は、それを恐れてるのよ。」