爆裂ワガママお嬢様が前世を思い出したら (ページ5)

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「では、ご機嫌よう。」

早いところ記憶の整理がしたい。

内心焦りながらスタスタと去ろうとする私を見て、安室さんが「え？」と声をあげた。

その声に驚きすぎて肩がビクゥ！！と跳ねる。

な、なんだ安室透なにごとだ！私なんかやらかしたか！

私は焦りを必死に隠して安室さんの方を振り返る。

「あら、どうかなさいました？」

「あ、あの……お屋敷までお送りします。」

思わず小声で「あっ」とこぼしてしまう。

そうだったわ今の私超絶ワガママなお嬢様だったわ。

完全に徒歩で帰る気でいた。

だ、だってしょうがないじゃんこちとら前世は一般市民だぞ！？

お車での送迎が当然なんてそんなことなかったわ！

普通に苦学生で深夜にチャリンコ漕いでたわ！

「……ウフフッ、ごめんなさい。安室さんに呼び止めていただきたくて、お茶目してしまいましたわ。」

思い切り困惑顔の安室さんに向けて、このお嬢様なら言いそうな言葉をぶん投げると、安室さんは苦笑した。

「このアマ……」とでも言い出しそうな顔である。

この人わりと表情隠さねえな。

可愛いから良いけど。私のメンタルはボロボロだけど。

……でも、やっぱり安室さんは訝しげに私を見つめていた。

なんだろう、まだ私なにかやらかしてる？

もうこれ以上ないってくらいのやらかしを今まで散々してきてると思うんだけど。

・

あの伝説の白いFDに乗れるとは思わなんだ。

でも助手席には乗せてもらえなかった。

蘭ちゃんやベルモットには座らせてたのに……こやつめ……

「ではまた。」

「ええ。今日はありがとう。」

ふええ推しの冷たい笑顔こわいよお。

わりとガチで泣きそうになるのを堪えながら、私は見事な豪邸へと足を踏み入れた。