爆裂ワガママお嬢様が前世を思い出したら (ページ40)

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パッパにさりげなく確認したところ、やはり『アレ』とは部屋で見つけたディスクのことで間違いないようだ。

かくして出立の準備を終えた私は、自室で翌朝を待つことになった。

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おはようございます。

外は土砂降りです。

父と涙の別れを済ませ、やって来たのは東都から少々離れた土地。

ちなみに世間的には篠崎Aは海外に遊びに行ったことになっている。

そう、世間的には。

実際の私は、今日から別の人間を名乗ることになる。

理由は勿論「例の件」の遂行のため。

とにかくディスクを安全に守りきるために万全を期したいらしい。

という訳で。

みなさんはじめまして佐藤千佳子です。

あのお嬢様との差別化を図るため、徹底的に姿や性格を変えました。

腰ほどの長さのパツキン髪も真っ黒に染め、肩口までの長さにバッサリ切り落とし。

口調もビックリするほど雑になり。

一応気休めとして伊達メガネまでかけた。

ここに超冷たい目と気難しい顔をセットにして、なんとお値段2万円(経費)

福沢諭吉2人が手を尽くした結果、見事に別人が誕生しました。

これ完璧やろ。

顔はいじってないけど、これで篠崎Aお嬢様と佐藤千佳子をイコールで結べる人が現れたら、私その人と結婚するわ。

絶対無理だもん。

ひとり自信満々に頷くこのときの私は、後にこの容姿のせいで、例の組織との壮大な鬼ごっこが始まってしまうなど–––––––夢にも思っていなかった。

・

「佐藤千佳子」の自宅となるのはそこそこの大きさの一軒家だ。

交通の便が悪いけれど、その代わりご近所付き合い、井戸端会議をするようなお隣さんはいらっしゃらない。

気楽に過ごせるのは良いことだね。

「もうやること無くなっちゃったな。」

荷物の整理も早々に終え、もう生活をスタートできる状態に仕上がってしまった。

暇で仕方ないので父にこの劇的ビフォーアフターを披露しようかと思ったが、ふと思い留まる。

父は「佐藤千佳子と篠崎家の関わりが万が一にも周囲に勘付かれないように」と、佐藤千佳子の容姿を知ることを全力で拒んでいたからだ。

今思い出した。

確かにそうだ、と私は納得した。

私も赤井さんの変装姿である沖矢昴を見つけたら三度見くらいする自信がある。

要はそれと同じことだろう。

佐藤千佳子は、篠崎家とはまったく関わりのない一般人という設定だ。

さあ、演じ切ってみせようではないか！