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「やはり組織は例の件を探っていたようだね。」
パーティー会場から邸宅に帰宅する道すがら、父は重い息を吐いて眉を寄せる。
私は走行中にも関わらず揺れひとつ感じない車内に感動していたせいで、一瞬父の言葉への反応が遅れた。
例の件。
確か黒の組織に狙われるような案件だったっけ…？
今日知り得た情報なのに、既に数日前の情報のような感覚だ。
それもこれもコナンくんの事件ホイホイ体質と安室たそのハニトラのせいだろう。
もう私疲れたよ。
それにしても、先ほど安室さんが言っていた「フェリス・ナッシュ」とは何者なんだろう。
父はその言葉で「例の件」を連想したようだが…
正直そこら辺の記憶がまだ戻らないので何のことやらさっぱりだ。
どう受け答えしたら良いものかと頭を悩ませていたが、父はそんな私の様子に気づくことなく話を続けた。
「まさかあの名前までたどり着いていたとは…正直侮っていたよ。彼らはイギリスにも伝い手があるのかもしれないね。」
父が苦々しく吐き捨てる。
うーん。その言葉を聞く限りだと…
�．侫Д螢后Ε淵奪轡紊箸倭反イ鵬燭蕕�の形で関わる誰かの名で、
�△修譴倭反イ縫丱譴襪海箸蝋イ泙靴�ない名であり、
��イギリス人もしくはイギリス国籍を持つ人物である、
といったところだろうか？
しかしこれだけでは、まだまださっぱり全容が見えない。
フェリス・ナッシュという人物が「例の件」に関わりがあるということは、勿論「例の件」を預けられている私にも少なからず関係があるのだろうが…
とりあえず、黙ったままだと不審に思われる。
少々探りも入れつつ反応を返してみよう。
「問題ありませんわ。ただ名が割れただけのことですし…」
「しかしだね……あの名前が割れたのなら、組織が僕たちとあの名の繋がりに気づくのも時間の問題だろう。……『Xデー』までは残り二ヶ月ほどだったか。何としても『アレ』は死守しなければならないよ、A。」
だから！
「アレ」とか「例の」とか「Xデー」とか！
ぼんやりした言い回しをするな！！
私は焦ったさに暴れ回りそうになりながらも「ええ、必ず。」と澄まし顔で答えた。
父はそれを見て力強く頷くと、「いよいよ大詰めだ」と静かに言う。
「では当初の予定通り、君には『アレ』を持って篠崎家を発ってもらう。明日は荷物をまとめ、出立に備えてほしい。」
……ん？
待ってその予定私知らない。
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作者名：しま | 作成日時：2018年4月22日 16時
