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私を含んだ容疑者5名が、毛利探偵のもとへ集まった。
ちなみに容疑者は、被害者の息子、被害者の親友、被害者の祖母、被害者と不仲のホテル経営者。そして私。
結論から言おう。
私以外の全員が犯人だった。
最初毛利探偵(眠ってない)は、被害者と不仲のホテル経営者が犯人であると主張していた。
しかしいつもの迷推理の最中にコナンくんから麻酔針が放たれ、それが小五郎さんに命中すると、小五郎さんは「はにゃ…」という言葉を最後に目を瞑った。
眠りの小五郎の誕生である。
そこからの展開は早く、瞬く間に殺害トリックと動機が突き止められると、犯人一派はすべからく泣きながら膝をついた。
・
「はあ…」
事件から解放されたのは、もう夜も更けた頃だった。
父は私の容疑が晴れたことを泣いて喜んだ後、鈴木会長と話があるとのことでこの場を立ち去った。
私は父とともに帰宅予定だから、父が帰るまでは会場にいなければならない。
バルコニーに出て夜風に当たっていると、バルコニーにあるテーブルの陰から、ひょこっとコナンくんが顔を見せた。
「Aさん、帰らないの?」
「……やあ少年。私を知ってるのかい?」
「あれ、もしかしてあのこと怒ってる?」
怒るわ!
ていうか拗ねるわ!
「だってAさん、安室さんに記憶のことバレるの嫌なんでしょ?」
「まあね。言ったところで信じてもらえないし。ていうかむしろ『都合のいいこと言いやがって』って感じになりそうだし…」
「じゃあやっぱり例の動画見せよう?」
「いやだ!!ていうか君いい加減にあれ消してよ!」
私の懇願に対し、コナンくんは「やだ♡」と笑って走り去って行った。
私は後を追いかけようとしたが、コナンくんが蘭ちゃんと手を繋いで会場を出て行くのが見えたので断念する。
「もー……仕方ないなあ。」
まあコナンくんはむやみやたらに情報を拡散したりはしない子だ、ということは知っている。
そこを信頼するしかないか…
はあ、とひとつだけため息をついた私の耳に、ふと、くすりと小さく笑う音が聞こえた。
思わずパッと顔を上げる。
「やっぱり、仲が良いんじゃないですか。」
バルコニーの入り口に、薄く笑んだ安室透が立っていた。
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作者名:しま | 作成日時:2018年4月22日 16時