爆裂ワガママお嬢様が前世を思い出したら (ページ28)

今日:153 hit、昨日:216 hit、合計:2,184,651 hit

26 ページ28

(コナン視点)

安室さんは蘭や小五郎のおっちゃんがいるところへ行ってしまったため、これ以上組織のことを聞くことはできない。

俺は壁際に留まり、顎に手を当てて考え始める。

メルロー。ぶどう品種のひとつ。

一般的に知られていることとして、メルローは芳醇でまろやかな味わいの赤ワイン––––つまり、酒を生み出す。

黒の組織の構成員はその能力の高さを認められると、酒の名を冠したコードネームが与えられる。

『メルロー』というのも組織の幹部のひとりなのだろう。

「何怖い顔してるのよ。」

「…ああ、灰原か。」

隣にやって来た灰原に声をかけられ、俺はうつむかせていた顔を上げる。

元太、光彦、歩美が向こうのテーブルで賑やかにしているのを確認してから、灰原に尋ねた。

「なあ、メルローって知ってるか。」

「それ、確か赤ワインの……って、あなたまさか！」

「ああ、黒の組織のメンバーにメルローって奴がいるはずだ。何か知らねえか？」

俺の問いに灰原は少し躊躇っていたが、観念した様子で口を開いた。

「…私が組織にいた頃、何度か会ったことがあるわ。彼女は情報統括室の室長で、時々私の研究室に薬の研究過程を聞きに来ていたから。」

「薬って…APTX(アポトキシン)4869のことか？」

「ええ。メルローが属していたのは、組織内のあらゆる情報を管理・統括する場だったから、勿論薬の実験データもそこに集約されるってワケ。」

…なるほどな。だが……

「そんな組織の重要機密が集約される場って、危険じゃねえか？そこから情報が持ち出されでもしたら、組織の壊滅なんて一瞬だろ？」

「そうね。だからこそ情報統括室は、ボスからの信頼の厚い、最小最低限の人員で構成されていた。ジンやラムですら、あの場所への入室はある程度制限されていたくらいだもの。」

だから––––––––パニックに陥ったのよ。

灰原が目を伏せて、言う。

「その組織最大の重要機関・情報統括室の室長が、あろうことか––––––––外部から潜り込んだ、NOCであると発覚したときは。」