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「ぱぱぱ、パパ?何をおっしゃって…」
「ど、どうしたんだ?ハッ…そんなに気分が悪いのかい、滝のような汗を流して…!」
「そうですわねいやそうではないのですけれど、ちょっと今混乱してますの。そこのウェイターさん水を頂戴できるかしら…」
ウェイターさんから頂いた水で喉を潤した私は、自身を落ち着かせるように息を長く吐き出す。
ちょお待てや工藤。
なんで愛すべき親馬鹿パッパからバーボンの名が飛び出してくるんですかね。
バーボンとはみなさんご存知安室透が、黒の組織から与えられたコードネームだ。
原作だと安室透=バーボンということを知ってるのはコナンくんと灰原さんと阿笠博士とFBIと新一のご両親と…って結構いるな…
ともかく、栄えてこそいるが表社会にて企業を構えている篠崎家は、黒の組織のことなど存在すら把握していないはずなのである。
……いや、もしかしたら前世思い出したショックで吹っ飛んだ私の今世の記憶の中に、何か重大な事実が隠されているのかもしれないが。
……めんどくせえええなんで忘れちゃってるんだよ私!ばか!今すぐ思い出せ!!
しかし父は何やら勘違いをしているようだ。
まさか安室さんの素性に気づいていないのか?
安室さんは確かに黒の組織の一員だが、その正体は公安警察に籍を置く潜入捜査官。
ざっくり言うなら「コナン側」の人間だ。
(まだ記憶が戻らない以上、迂闊なことは話せないけど、何とかして情報を得たいな。)
よし。
「パパ。バーボンのことは、それほど警戒しなくてもよろしいのではなくて?」
「何故だい?彼は組織で“探り屋"としての地位を確立しているほどの切れ者だよ。」
何故あなたはそこまで知ってるのだよ?
頭を抱えそうになりながらも、黙って父の言葉に耳を傾ける。
「僕は彼が君との関係を了承したと聞いたとき、『例の件で探りを入れに来たのではないか』と考えたが……ああ、勿論君は魅力的な女性だ。バーボンが君に惚れたとしても無理はないけれどね。」
「ソウデスワネ。無理もないデスワー」
後半は聞き流すとして、「例の件」か。
さすがにここを掘り下げたら私に記憶がないのがバレる。
まだ不確定な部分が多いこの段階で、記憶の欠如を匂わせるのは得策ではない。
「例の件は君に預けてあるんだ。くれぐれも『アレ』が組織に見つからないよう、気をつけて。」
アレってなんですかねえ……(遠い目)
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作者名:しま | 作成日時:2018年4月22日 16時