23 ページ25
めちゃくちゃ焦った様子で「コナンくん…!」と呼びかける蘭ちゃん。
コナンくんはそれに聞こえないフリをして、私ににぱーと邪気のない(なさそうな)笑顔を向ける。
「篠崎さん、ドレス綺麗だね!」
「エッあっあざっす……アッ」
「バレても良いの?(小声)」
「ウフフフフ当然でしてよまあこの程度私の美貌を引き立たせる付属品のひとつに過ぎませんけれど?????」
突然のコナンくん襲来に怯えてザコキャラみたいな返答をしてしまった私に、コナンくんは真顔で脅しみたいなことを言う。
元はと言えばお前のせいだからな…
コナンくんは早々に蘭ちゃんに回収された。
私はコナンくんに余計なことは喋るなよ、いや喋らないでください、と懇願するような視線を送る。
江戸川様は呆れ顔だったが、おそらく口を割ることはないだろう。
私がコナンくんから視線を外すと、父がこちらに手を振りながら近づいて来た。
「やあA。気分はどうだい?」
「…少し人に酔ってしまったようですわ。一度席を外させていただきたいのですけれど、よろしいかしら。」
すると父は少しだけ思案顔をして、ひとつ頷いた。
父が私の肩を抱いて歩き出す。
どうやら父も一緒に席を外すつもりらしい。
・
てっきりホールから出て一服すると思っていたのだが、父は人がまばらな地帯にたどり着くと、緩やかに足を止めた。
そして私にグラスを手渡しながら、こそりと口を開く。
「安室くんとは上手くやっているかい。」
「え?」
私に目を合わせることなく尋ねた父に驚く。
まさかパーティーの席でこんな話を持ち出されるとは思わなかった。
戸惑いながらも「ごめんなさい、」と一言謝る。
「安室さんとはお別れしましたの。」
「え!なんだ、そうだったのかい?」
「ええ、そういえばご報告がまだでしたわね。ごめんなさい勝手に決めて…」
「ああ、いいんだよ。恋愛は個人の自由だし…」
父が朗らかに笑う。
やっぱりめちゃくちゃ優しいじゃん…なんで私の周りって仏とか天使ばかりばかりなんだ?
私が感激してぷるぷる震えていると、父は「いやー」と苦笑しながら言う。
「君があのバーボンと交際を始めたと聞いたときは驚いたけど…大事にならなくて良かったよ。」
…………なんて?
2132人がお気に入り
「名探偵コナン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しま | 作成日時:2018年4月22日 16時