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(コナン視点)





なんだか俺に怯えている様子の篠崎さんを近場の喫茶店に引っ張り込み、とりあえずレモンパイをご馳走してもらった。


レモンパイを奢る代わりに先ほどのことは忘れてほしい、としょっぱいことを言う篠崎さん。


とてもお嬢様の発言には思えない。









篠崎さんの事情を聞くこと10分。


彼女の変貌の真相が大体見えてきた。




篠崎さんいわく、先日安室さんとのデート中に突然前世を思い出した。


前世はとある大学に通う苦学生で、今よりもだいぶ真っ当な人格を形成していたらしい。


前世を思い出したせいで脳がキャパオーバーしたのか、今世の記憶は若干削れたが、断片的に思い出せる今世の悪行を彼女は恥じた。


そこで今、この状況に至るという。




まあ、いつもの俺ならこんな荒唐無稽な話は信じない。


しかし脳裏に蘇るのは、自分さえ良ければ全て良し、眼に映るものはイケメンだけ、その他は存在すら認識しないという典型的な悪役お嬢様。


あのお嬢様が果たして更生できるだろうかと問われたら、「来世に期待」としか言えないような状況だったのだ。


つまりどうあがいてもあの性格は矯正できないと諦めていた。




ところがどうだ。


今目の前にいるのは、先ほど公園で園児たちに取り囲まれオモチャにされ揉みくちゃにされてもなお怒りの感情など一切表に出さなかった苦労人お姉さんである。


若干涙目ではあったけど。




この変貌の理由が俺の推理した「篠崎A影武者説」でないとしたら、消去法で「前世思い出して憤死しかけてる説」しか残らないのだ。


勿論これ以外の有力な理由が浮上してきたら「前世思い出して憤死しかけてる説」は即取り下げである。


それまでは彼女の話を信じてやっても良いと思っているが。









こうして全てを語り終え、俺という理解者を得られた篠崎さんは、目に見えて安堵した様子を見せた。


目尻が優しげに下げられ、口元がだらしなく緩んだ篠崎さんは、はっきり言って以前までのお嬢様とは別人にすら見える。




人間、中身が変われば印象が変わるものだ。


以前とは打って変わって優しげな雰囲気をまとうこの篠崎Aが、俺は結構気に入っていた。




弄りやすいし。




なんと言っても、弄りやすいし。

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作者名:しま | 作成日時:2018年4月22日 16時

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