爆裂ワガママお嬢様が前世を思い出したら (ページ19)

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「そんな苦しい生活を、あの篠崎大和の娘のAさんが体験するはずないよね？」

コナンくんはレモンパイを食べる手を止めて、私をまっすぐ見上げた。

その透き通るような蒼い目、綺麗だけど、今は恐怖しか感じないです。

ちなみに篠崎大和は私の父です。

「ねえ、お姉さん。お姉さんは本当に…」

私はゴクンと唾を飲み込み、続きの言葉を待つ。

「ほ、本当に……？」

コナンくんは、至極真面目な顔で私に尋ねた。

「本当に、篠崎Aさん？」

………………What’s？

・

どうやらコナンくんは私が篠崎Aの影武者か何かかと思っているらしい。

ははは、そりゃねえぜ名探偵。

あれか。

身近に怪盗キッドとかベルモットとか君の母上とか変装上手な人が居るせいで、そういう発想が簡単に選択肢に浮上してしまうのか。

そんな超人どもがそう何人もいてたまるか。

「違うよお」とケラケラ笑いながら答えてあげたらなんだか納得していない様子だったので、特別に頬を引っ張らせてあげた。

変装マスクなんてしてませんよ、ということを伝えたかっただけなのに何の恨みがあるのか全力でつねられた。

めっちゃ痛い。子供かお前は。

「じゃあ何なの？篠崎さん、絶対この間までとは別人じゃない！」

「それよりコナンくん、乙女の顔を全力でつねって謝罪もないのかい？」

「はあ？自業自得でしょ？」

「何が！？なんで！？」

「そっちが何言ってるんだよ。今まで散々安室さん達を苦しめてたくせに。」

「その件に関しては覚えてないんだ…ノーカンにしてくれ…」

「え？」

私は今の状況を簡潔にコナンくんに伝えた。

さすがに「君たち漫画の中のキャラクターなんだよ！」と打ち明ける度胸はなかったので、そこだけは話さなかった。

しかしそれ以外はほぼ全部話した、先日前世の記憶を取り戻してしまったせいで今世の記憶が曖昧になってしまったということを。

前世の私は苦学生で、人格も真っ当だったため、断片的に思い出せる今世での所業を全力で恥じたことを。

こんな話をあのオカルト系の話は一切信じないコナンくんが受け入れてくれるかどうかは正直賭けだった。

しかし意外なことにコナンくんは、最終的に私の話を信じてくれた。

「まあ、あんな奇行を見せられたらね…人格違いすぎるもん。」

しかも信じる根拠は公園でのあの事件らしかった。