爆裂ワガママお嬢様が前世を思い出したら (ページ18)

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ポアロ以外の喫茶店に入るのは初めてだ。

この間のポアロの入店も今の私にとっては初めてだったけど。

そしてポアロへはもう当分行けないだろうけど。

……勿論泣いてるよ！当たり前だろ！

「僕レモンパイ食べたぁい」と子供っぽさMAXで言い放ったコナンくんは、早速注文を取ってくれた女性アルバイターさんのハートを鷲掴みにしていた。

騙されないでバイターさん。

その子実年齢17歳です。

あなたと大体同い年です。

喫茶店の一番奥のテーブル席にて。

店員や他の客の視線がなくなった途端、コナンくんはすうっと無邪気な表情を削ぎ落として無表情になった。

怖すぎ。

お前私の前でも猫かぶりすべきじゃないの？

自分の素性バレてもいいの？

そんなことを思いながら、突然チベスナ顔になったコナンくんに頭を下げる。

「先ほどの…公園での出来事は、忘れてください。」

「無理に決まってるでしょ。人間の脳って、衝撃的な事件は記憶に残りやすいようにできてるし。」

つまり君にとって公園での出来事は事件だった訳だ…

穴があったら埋まりたい。

むしろここで自分が埋まる穴を掘りたい衝動に駆られながらさらに頭を下げる。

「ほんとに忘れて…お願い…あ、そうだこのレモンパイ奢っちゃう…奢っちゃうから…」

「これくらい出費のうちに入らないでしょ。」

「は！？このちびっ子この野郎苦学生にとってレモンパイなんて一ヶ月に一度食えるかどうかの贅沢品、……あっ。」

名探偵のあまりにも裕福なセリフを聞いて、私はつい頭に血が上ってしまった。

主に前世の苦しい生活を思い出しながら切々と語ってしまったときにはもう遅い。

コナンくんは私の演説を、最初こそポカンとした顔をして聞いていた。

しかし次の瞬間、その表情が一転してニタリとした企み顔に変わる。

具体的には「聞いちゃった！」とでも言い出しそうな悪い顔をしていた。

「聞いちゃった。」

本当に言った。