爆裂ワガママお嬢様が前世を思い出したら (ページ11)

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(コナン視点)

あの女が梓さんに安室さんへの伝言を頼んだ。

しかも口調は相変わらずだが、しっかりとした「頼む側の人」の態度を取って。

今までだったら、使用人か何かに申し付けるように高圧的な態度で梓さんを責めていたのに。

梓さんも呆気にとられていたようだったが、すぐに立ち直り承諾した。

すると。

「ありがとう。」

あの女が。

礼を言ったではないか。

極め付けは注文である。

今まで安室さんの手作りのものしか食べなかった女が、若干そわそわしながら梓さんに注文を入れた。

パンケーキとアイスティー。

はて、あの女はコーヒーしか飲んだことがないように思う。

いつもとは違いすぎる女の言動に全員が首をかしげる思いだった。

女は一番奥のテーブル席に腰掛けると、興味深げに店内を見回す。

あくまでこっそりとだが、俺の目にはバレバレだった。

何かがおかしい。

俺は探りを入れることにした。

「ねえねえ、篠崎さん。」

「っ、何かしら？」

「安室さんにどんな用事？」

女は俺の呼びかけに素直に応えた。

いつもなら「話しかけないでくださる？」と見下してくる。

意外に思いながらもこれくらいのことでは驚かなくなった俺は、直球な質問をした。

女は笑う。

……わら、う？

「秘密よ。」

困ったように笑う女に、俺は今度こそ動揺した。

こんなに柔らかく笑う人じゃなかった。

こんな会話に応じるような人ではなかった。

そういえば、見た目の雰囲気が違うと思っていたが、いつもと化粧の仕方が違うことにここで気づいた。

いつも完璧な化粧で周囲と壁を作っていたそれは、ほぼすっぴんと言えるレベルになっている。

俺は呆然としながら、パンケーキを随分と幸せそうに食べる女の姿に、また呆然とした。