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第65羽 ページ10

紅蓮の獅子王団の
個室で部屋の主であるレオポルドは
鼻を啜っていた

傍のゴミ箱にはティッシュが山を作っている


レオ「ゴホッ…ズズッ うぅ…まさか、
この俺…が、風邪をひくなん…クシュッ!… て…」

レオがそう言ったタイミングで、白い山の一部が崩れ、深紅の絨毯に転がり落ちた

ぶっちゃけ、レオは生まれて初めて風邪を引いた

常人が冬辺りに苦しむという風邪を
たかが流行り病だと、いや、むしろ人々の虚弱さを笑い飛ばしてすらいたレオは
その身を以て知ることになった

それを鼻声で呟く


レオ「…風邪とは 斯様に、苦しい物なの…か…
クシュン ズビ…」



鼻が詰まって呼吸が苦しい
そのくせ鼻水は止まらない

鼻が無理ならと口で呼吸をしようとしたら、喉がヒリついて痛む

逃げ場のない不快感に、一周回って大暴れしたくなるレオだった


だが一応病人
額の上にある氷のうのズレを直したとき、ふいに部屋の外から話し声が聞こえた




「ーー、では、お願いしますーー
眠っていらっしゃるかもしれないので…ーー」


「ええ、 ー……薬とーー
任せてください…ー」




耳を澄ましても話の内容までは聞こえない、だが


レオ(この声、Aが来たのか!?)


密かに想いを寄せるAの声をレオの耳が捉えた


心拍数の急増と、一瞬で赤みを帯びた頬は、
もちろん熱のせいではない



ドアノブに手を掛ける気配がして、
とっさにレオは、眠っているフリをした

静かに近づく足音に、体が嬉しさと謎の緊張に強ばる

しかし眠っている病人を意識して、無駄に力の入る表情筋を落ち着けようとしていると
そもそも、なんで狸寝入りなぞしたのかという
自身の可笑しさに気付いた



貴「ありゃ、ホントに風邪引いてる
辛そうだなぁ」

レオ「!」


やはり来たのはAだった

今すぐ起き上がり、Aを抱き締めたい衝動に駆られるが、目を覚ます自然なタイミングを待つレオは、じれったそうに寝返りを打った


布団を胸元まで被ったせいで、レオは汗だくだ
体内にこもった熱に、眉をしかめさせると、閉じた視界が暗くなった
次いで


レオ「!!」

貴「よしよーし、もう大丈夫だからね〜」

歌うような優しい小声と首筋、額に冷たい感覚

Aは、布団を腹辺りまで下ろし最後にレオの頭を撫でた



レオ「…う、うーん///」


もう我慢ならんと、レオはいささかわざとらしい声を出し目を"覚ました"

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サッチ - 更新してくれぇ(´;ω;`) (2022年12月11日 21時) (レス) @page11 id: 91759080f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氷輪 | 作成日時:2018年7月15日 20時

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