第64羽 ページ9
時は夏真っ盛り
太陽は容赦なく地上の人間を照りつけ、
人々は眩しげに手をかざし、目を細める
だが、そんな暑さの中にもクローバー王国の活気は衰えを知らない
市場では、荷台を乗せた馬車が盛んに行き来し
ビーチでは涼を求めた人々が波の冷たさに身を寄せる
因みにヤミ曰く、クローバー王国の夏は、
かなり過ごしやすいらしい
なんでも、ヤミの祖国は猛暑に加え湿度も高い
ので、不快な事この上ないと言う
だが、クローバー王国はカラッとした暑さと
乾いた風が山から吹き下ろす爽やかな気候だ
この恩恵を享受し、今日もクローバー王国の人々は夏を謳歌する
だがしかし、どこにでも"例外"はいるもので。
先日の突発的な豪雨にエンカウントした
不運な男が一人、苦しげな咳を繰り返しながら
キングサイズのベッドに横たわっていた
いつも通り元気なら、蝉取りくらいしたであろうその男の名は………
レオ「……ゴホッ…ゴホッ…うぅー…」
紅蓮の獅子王団員にして王族、
レオポルド.ヴァーミリオン その人である…
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
貴「え、えぇぇぇえ!!!
レオ、風邪引いちゃったの!?」
窓という窓を解放している白亜の天使団アジトに、Aのすっとんきょうな声が筒抜けた
だが、Aが驚くのも無理はない
病気とは縁がなさそうなレオポルドが夏風邪で
ダウンしたなんて
団員「は、はい…任務中、豪雨に
当たったらしく
紅蓮の獅子王団から、Aさんに医者として診察してほしい、と知らせが来て…」
Aは、団長であると同時に、
白亜の天使団の医者でもあった
薬の調合や、外科手術、内診、いろいろと
オールマイティーなAは、クローバー王国一の名医である
貴「オッケー!30分後に着きますって
伝えてくれるかな?」
団員「わかりました!」
団員の元気な返事を聞いたAは、
微笑み返し、早速準備を始めた
Aはノースリーブで薄手の白いブラウスから顔を出し、ボタンを留めた
Aの移動手段は、腰から光創成魔法で羽を生やすことなので、Aの服装は大抵、上部の服とスカート部分でセパレートされている所謂、腹出しスタイルだ
艶やかな曲線を描く腰から、光を編んだような
羽が現れ、薬を詰め込んだ鞄をひっ掴んだAは窓から飛び出した
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サッチ - 更新してくれぇ(´;ω;`) (2022年12月11日 21時) (レス) @page11 id: 91759080f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷輪 | 作成日時:2018年7月15日 20時