白亜の翼は暁天を抱く～ブラッククローバー (ページ2)

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続編記念！番外編～かき消して波の音２ページ2

それは、ある日のこと

黒の暴牛団の深い森の中で刀の手入れをしていたときだった

ヤミ「……誰だ」

俺の五感が何者かの"気"を捉えた

それだけではない、相手はとてつもなく強大な魔を持っている

俺は今までに会ったことのない得たいの知れない対象と対峙しているのだ

手入れを終えた刀の柄を強く握り、構えた

ガサガサッ！

ヤミ「！」

こちらの警戒をよそに、ソイツは近づいてくる

額に汗が一筋流れた

しかし、

？「誰かいるのですかぁ？」

ヤミ「………は？」

刀を握る手から、張り詰めた神経から、力が抜けた

それほどに、聞こえた声はどこか抜けてて、警戒するのも馬鹿らしいほどに純真無垢な響きを持っていた

そして茂みからソイツは姿を現した

ガサッ

ヤミ「……おいおい、ガキじゃねーか…」

歳は１０くらい
背中までの銀髪に、深い海のような瞳
桜色の薄い唇、陶磁器のように白く滑らかな肌

ある意味で普通の容姿からかけ離れている

俺は主に三つの意味で驚きを隠せなかった

一つ、強敵とすら見違えた相手は、年端もいかぬ少女だったこと

一つ、そんな幼い子供がこれほどまで大量の魔を持ちながら魔を危なげ無く制御できていること

一つ、その少女が………

とてつもなく、美しかったこと

なけなしのプライドのために言っておくと俺に
幼女趣味はない。全くない

だが、年齢とか、そうゆう概念を超えて
この少女は美しかったのだ

まったくらしくねぇ

ヤミ「…お嬢ちゃん、なんでこんなとこにいるの、マトモなやつならフツーこんなとこ来ねぇよ」

実は、俺が子供に話しかけると、必ずその子供を泣かせるという悲しい統計があった

それでも、聞かずにはいられなかった

だが、少女は目をぱちくりとさせて俺を見上げ

「……それでは、

貴方様は"マトモなヤツ"ではないということですねっ！！」

ビシィィイッッ！！

何故か勝ち誇った顔で、少女は俺に指を指した

ヤミ「……は？」

俺は、『連続子供泣き喚かせ記録』の更新に終止符を打たれたことに、暫くの間気付けずに固まった

そんな俺に、あろうことか頬をペチペチ叩き、
おーいと呼び掛ける少女

ヤミ「……お嬢ちゃん、名前は」

ようやく捻り出した言葉に少女はニッコリと笑い

「A、A.ラフィール」

その日から、Aという存在は、俺の心の最深部に刻まれた。