白亜の翼は暁天を抱く～ブラッククローバー (ページ1)

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続編記念！番外編～かき消して波の音ページ1

ザザーーン…… ザザーーン…………

絶え間なく岸に打ち付ける波の音

これを子守唄に、船の穏やかな揺れをゆりかごに俺は育った

異郷の地に流れ着いても波の音だけは変わらねぇんだなと、言ってしまえば当然のことだが
今はその当たり前がありがたかった

波の音だけを聞いていられたならまだ気も安らいだかもしれねぇ

だが、現実はうまくいかねぇものだ

『あの子供が漂流してきた子かい？
……なんともみすぼらしいねぇ…』

『見てみろよあの目付き、人でも殺しそうだぜ…はやく行こーぜ…』

『あぁ、触らぬ神に祟りなしだ』

あーーうるせぇうるせぇ

……………

いつも孤独だった。

漁師の親に育てられたお陰で餓死することはなかったが、毎日魚を採って、食って、寝て

その繰り返し

酷く無機質で空虚で……寂しい日常

あの日までは

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

ザザーーン……ザザーーン……

野次馬もとうとう俺への興味が失せたらしい。
おかげで波の音が影口に汚されることがない

ザザーーン……ザザーーン……

ザザーー……ドドドドドドドドド！！！

「！！！？？」

近所の暇人どもの陰口の代わりに、
今日の波の音をかき消したのは、

此方に猛スピードで砂を巻き上げ迫り来る
オッサンーーーー

俺の面前まで来たオッサンは俺の手を掴み

「ねぇ！！それって闇魔法だよね！！

すごいなぁ！！初めて見た！！
もっと見せてよぉーー！！！」

久しく見なかったキラキラした瞳で俺を見、
早口で捲し立てた

「誰っすかオッサン」

「オッサン！！？」

￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

俺とオッサン……もといユリウスは食堂へやってきた

海の近くのエリア外に出ることは初めてで、
ここは豊かな国ということがわかった

あ？なんでそんなとこにいるか？
メシ目当てに決まってンだろ

流石に毎日魚で飽き飽きしていたところだ

ユリ「さぁ！好きなものを頼んでいいよ！」

ヤミ「じゃあ全部」

ユリ「ハッハッハッハッ！！遠慮がないな！
いいぞいいぞ！！」

内地のメシは思ったより旨かった
ユリウスの質問攻めはウザかったがこれの代償としちゃ安いほうだ

ユリ「ってことで！ヤミ、魔法騎士団に入る気はないかい？」

ヤミ「は？」

￣￣￣￣￣￣￣￣￣

あれからトントン拍子で話が進み
１６歳の俺は、内地のメシとマシな寝床のために魔法騎士団に入団した

任務もまぁぼちぼちこなし、
新しい生活に少しずつ慣れてきた頃