私の恋はきっと、初恋で終わる【文スト】

お菓子が6つ ページ6

＊


「その日」は、何時もご飯を届けに来る
誘拐犯が来なかった。

孤独が辛かった私は、そんな誘拐犯ですら
会いに来てくれるのが嬉しかった。



それなのに、今日は来ない。
怖い、怖い。どうして私が？もう······嫌だよ。

ついに耐えきれなくなり、膝を抱え込み、頭を
押し付けたその時だった。



ドゴッと音をたてて、扉が破壊された。




続いて聞こえてきたのは、この場には
似合わない程明るい少年の声。


「ね！だから云ったでしょ、福沢さん！
絶対に被害者は此処に居る、ってね！」

「ああ、お前の推理は疑っていない。
だが······もう少し空気を読め、清水さんの
顔を見てみろ」

「何云ってんの福沢さん、空気は読むもの
じゃなくて吸うものだよ？」




······何が起きた。もう一度云おう。
何が起きた。

現れたのは、和服を着た強そうな男の人と、
学生服を着て、眼鏡をかけた少年。少年の
方は、私と年が近そうに見える。

会話からして、助けに来てくれた人だろうか。
市警、には見えないけれど。




「君の質問に答えよう！まず、僕の名前は
江戸川乱歩！世界最高峰の名探偵さ！

あ、犯人はとっくに捕まえているから安心
してね、身代金を受け取りにのこのこ現れた
ところを取っ捕まえたから」

「犯人を！？でも······一ついいですか、
江戸川さん」

「乱歩でいーよ！どうした、清水A
ちゃん？」


「どうして、身代金を受け取りに来たところで
捕まえたんですか？もし、複数犯だったら、
仲間が私を殺すかもしれないのに······」


そう私が云うと、乱歩さんは少し目を見開いて
云った。


「······へぇ、意外と賢いじゃないか！
それはね、僕が異能を使って、単独犯だと
見抜いたからだ！」



賢い、と褒められたが、そうでもない。
ただ私が好きな刑事ドラマで、同じような事を
刑事さんが云っていた事を思い出しただけだ。

それより異能って？都市伝説ではなかった
のか？聞いたことはあれど、それを信じよう
とは思っていなかった。

そんな疑問が顔に出ていたのか、乱歩さんは
これまた丁寧に答えてくれる。



「異能力は存在する！

僕の異能力『超推理』は、ありとあらゆる
真実を見抜くことが出来る、神のごときの
能力だ！」

ふふん！とふんぞり返る乱歩さん。
反り返りすぎて、頭から倒れてしまいそうだと、
少し心配になった。

お菓子が7つ→←お菓子が5つ

ラッキー文スト登場人物

フョードル・ドストエフスキー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す