私の恋はきっと、初恋で終わる【文スト】

お菓子が4つ ページ4

＊


お昼休憩。手作りの弁当を食べ、一息吐く。
デスクトップを開いて、自分のSNSを確認した。


お菓子を作って、それをSNSにあげる。
それが、最近の私の趣味になっていた。

ただ作るだけでは勿体ないような気が
していたし、調度いい趣味と云えるだろう。



「へえー、A、SNSなんてやるんだ」

「へっ！？ ら、乱歩さんっ！？」


ち、近い······っ！
一気に心拍数が上がった気がする。
乱歩さんに、どきどき鳴ってるこの心臓の
音が聞こえていないか不安になる。

しかも、抑えようとすればするほど、鼓動が
大きくなるのだから、たちが悪い。


そんな私の心中を知ってか知らずか、
乱歩さんはすずいと画面を覗き込んできた。
更に距離が近くなり、私の頭はショート寸前だ。



「えっと、lunar eclipseさんからの
メッセージ、『このマカロン、すごく
美味しそうですね！手作りですか？』

ふーん、作ったお菓子をアップしているのか」


ふむふむ、と云いたげに画面を見つめる
乱歩さん。

画面をスクロールするその顔は真剣だ。
そんな姿に、不覚にもドキッとしてしまった。
恋の病は、時を考えてくれないので困る。



「ねえA、僕にもマカロン作ってきてよ」

「えっ、パウンドケーキじゃなくて
いいんですか？」

「いーの！」

乱歩さんがいいと云うならいいか。
それにしても珍しい。乱歩さんが、出した
リクエストを変えるなんて。

それに、何だか不機嫌？
これに関しては、気のせいかもしれないが。




「あ、そうだった。A、帰る時は気を
付けてね。絶対に誰かと一緒に帰ること！
判った？」

「？判りました。何時も事務員の子と帰って
いますし、今日もそうします」




ーー数時間後。

「すみません、清水さん！どうしても今日
終わらせたい仕事がありまして······」

ぱちんと手を合わせて謝ってくれた後輩の
事務員さん。なんでも、明日までに司法省に
提出する書類を作らなければいけないらしい。



「そうなの？まあ、構わないよ〜お仕事
頑張ってね」

乱歩さんからの言葉が少し気になるが······
まあ、一応女性である私の身を心配してくれた
だけだろう。

そう自分の中で結論付け、帰ることにする。
探偵社の外へ出ると、既に日は暮れていた。
案外、時間が経つのは早いものだ。

明日はマカロンか。アーモンドパウダー
あったっけ、なんて考えていた私は、後ろ
からの跫音に気付かなかった。

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フョードル・ドストエフスキー

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