私の恋はきっと、初恋で終わる【文スト】

お菓子が13つ ページ13

＊


「ええっと、清水さんはご存知ありません
でしたっけ？実は、乱歩さんは······」

「太宰、それ以上云ったらマフィア時代の
証拠見つけ出して軍警に渡すぞ」




乱歩さんが一言、そう云うと、太宰君は
心なしか青い顔で取り出した携帯端末で、
何処(どこ)かに連絡を取る。


「ねぇ安吾ぉぉおお！？君、ちゃんと私の
マフィア時代の証拠消したよね、大丈夫
だよね？！」


すごい焦っている······太宰君がここまで
慌てている姿は初めて見た。


「それはそうと······太宰君は何を
云おうとしていたんですか？乱歩さん」

私がそう聞くと、乱歩さんは右を見て、左を
見て、考え込む。そして、云った。






「······だーっ！もう！僕は異能力者
じゃなくて、ただの一般人なの！」

「······へ」



今、乱歩さんは何と云った？
「僕は異能力者じゃなくてただの一般人」？

あ、だからあれはただ心配してくれただけ
じゃなくて、忠告の意味だったのか。

ん？いや待て、一寸(ちょっと)待って、それじゃあ······








「え、え、それじゃ······今までの私の
気持ちに······」

「勿論、気付いていたよ！例えば最近一番僕に
ときめいたのは、僕がAのパソコンを
覗きこんだ時。後は······」

「あーっ！いいですいいです、もう大丈夫ですっ！」



慌てて手で顔を隠してそっぽを向く。きっと
私の顔は、林檎みたいに真っ赤だろうから。

それに、此処(ここ)には乱歩さんだけではなく、
探偵社の皆もいるのだ。なんの罰ゲームだ、
これは。




「判って、いたのなら······云ってくれれば
よかったじゃないですか······私だけ
恥ずかしい事になっているじゃあないですか！」

「ええ、だって······頑張ってるAが
可愛かったんだもん」


ぷくーっと頬を膨らませて抗議する乱歩さん。
可愛いのは貴方の方ですよ。

え？今乱歩さん、可愛いって、云った······？
わ、私が？





「おや、これは珍しい。乱歩さんが一日に
二回も失言をするのは」

太宰君のそんな呟きを気にも止めない位には、
私は動揺していた。

お菓子が14つ→←お菓子が12つ

ラッキー文スト登場人物

フョードル・ドストエフスキー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す