風車は回る 卅肆 ページ34
*
『そうそう、そうなんだよ〜さっすが
しのぶちゃん、察しがいいよね』
私はそう言ったものの、答える者は誰も
いない。······当たり前だ。私は確かに、
あのとき死んだ。
けれどなんということか。いわゆる幽霊の
ようなものになって、現世に残ることに
なってしまった。なぜかは分からない。
まだ許されるくらい人を救っていなかった
のか、私に何か心残りがあったのか······
ああ、外国では自害は最も重い罪なんだっけ。
その罰かもしれない。
結局私は、苦しいままだ。天国にも地獄にも
行けず、ただ現世をさ迷っている。
「お供え物の葛桜はおいしくいただき
ますよ、っと」
手を合わせて早速頬張る。といっても、
実際には減っていないし、そもそも食べられて
いるのかも分からないが。
炭治郎くん、だったっけ?私が見えた子は。
びっくりしちゃったよ。声をかけられた時は、
元々止まっている心臓が止まるかと思った。
そして、その場ででっちあげた噂を教えた。
······意外と私は、まだ、人を救いたかった
らしい。今更、かもしれないけどね。
『こんな私でも······まだできることって、
あるのかな。教えてくれないかな······
誰でもいいからさ』
そんな声も、届かない。
42人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぺぽん(プロフ) - とても良いお話でした。最初、明るくて優しくて夢主ちゃんが少し羨ましかったけど、まさかあんな過去があって、ずっと秘めていた暗い思いがあったなんて…素敵な物語をありがとうございました! (11月25日 11時) (レス) @page37 id: 7908095bba (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 砂漠のうさぎさん» コメントありがとうございます!意識していたところが伝わってとても嬉しいです……!NGワードの件、初めて知りました。余計な口だなんてとんでもないです……!自分でも気になっていたところなので、ありがたいです。 (2021年2月15日 18時) (レス) id: 476e4d3430 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - 結果としての救いの無さ、好きです……………少しずつすれ違っていって、取り返しがつかなくなってから気付く、そんなしんどさがすごく良かったです…… (2021年2月6日 23時) (レス) id: fda4a3ac18 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - fubukiさん» コメントありがとうございます!fubukiさんの琴線に触れるような文を書けていたなら、こちらも嬉しいです!! (2020年10月13日 19時) (レス) id: 4e72ee7982 (このIDを非表示/違反報告)
fubuki(プロフ) - 泣きました。夢主ちゃんいい子ですね。 (2020年10月12日 19時) (レス) id: 8d00889b6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミオ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/userid10262/
作成日時:2020年5月30日 10時