風車は廻る 肆 ページ4
*
「カアアア! カアアアア!
柱合会議ダ、オ館様ガオ呼ビダアアア!」
「······あは、いい度胸してるじゃん白樺。
ようやく、よおおおやく眠れた私を叩き起こし
てくれやがるとは······」
私の鎹烏、白樺。
頭は良いのだが、その分嫌がらせも一級品だ。
名前は私が勝手につけた。
本人、というか本烏と言うべきかーー
まあとにかく、意外と気に入っているらしい。
急いで身支度をし、屋敷を飛び出した。
柱合会議にはお館様もいらっしゃるのだから、
尚更遅れる訳にはいかない。
「カア!A、腰ノ風車ハイイノカ!?」
「ほんと君いい加減にしてよ!?もっと早く
言ってよ、絶対気付いてた癖に!」
踵を返し、屋敷に戻る。
棚から藤色の風車を取り、腰のベルトに差す。
慌てていたから気付かなかったが、やはり
これがないと落ち着かない。
赤い番傘を差し、隊服のゆとりのある袖と、
短めのスカートをゆらしながら、Aは
駆け出した。
風に吹かれた風車は、からからと音を立てて
回る。
そこだけ切り取れば絵になる光景だが、既に
ばっちりしっかり重役出勤確定の時刻である。
「というか今日は、新しい柱の人が
来るんだよね?」
「ソウダ!遅レルナンテ先輩トシテドウ
ナンダ?!」
「いや、100%君のせいだからね?!
今から本気出せば間に合う······か?!」
そんなことを言っているが、既にとんでもない
スピードで走っているのだ。
更に速度をあげれば、常人には風が通り過ぎた
ようにしか感じられないだろう。
ひとえにAの身体能力がなせる技である。
私は
お館様の屋敷へと通じる抜け道を見付けて
おいたのだ。そこを通れば屋敷は目と鼻の先。
そんなことを考えて、私は更に走るスピードを
速めた。
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ぺぽん(プロフ) - とても良いお話でした。最初、明るくて優しくて夢主ちゃんが少し羨ましかったけど、まさかあんな過去があって、ずっと秘めていた暗い思いがあったなんて…素敵な物語をありがとうございました! (11月25日 11時) (レス) @page37 id: 7908095bba (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 砂漠のうさぎさん» コメントありがとうございます!意識していたところが伝わってとても嬉しいです……!NGワードの件、初めて知りました。余計な口だなんてとんでもないです……!自分でも気になっていたところなので、ありがたいです。 (2021年2月15日 18時) (レス) id: 476e4d3430 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - 結果としての救いの無さ、好きです……………少しずつすれ違っていって、取り返しがつかなくなってから気付く、そんなしんどさがすごく良かったです…… (2021年2月6日 23時) (レス) id: fda4a3ac18 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - fubukiさん» コメントありがとうございます!fubukiさんの琴線に触れるような文を書けていたなら、こちらも嬉しいです!! (2020年10月13日 19時) (レス) id: 4e72ee7982 (このIDを非表示/違反報告)
fubuki(プロフ) - 泣きました。夢主ちゃんいい子ですね。 (2020年10月12日 19時) (レス) id: 8d00889b6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミオ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/userid10262/
作成日時:2020年5月30日 10時