かざぐるま。【鬼滅の刃】

風車は廻る　廿弐 ページ22

＊


私は、杏奈に毎日のように稽古をつけて
いたし、付き合いもそこそこ長い。

だからこその確信がある。あれは、
手を抜いて稽古をしていたわけじゃあない。


あくまでも、あの時の杏奈は本当に木の
呼吸の攻撃型は使えなかった。



それなのに、なぜ。






「······最初にひとつ、言わせて下さい。
師範は、本当にすごいです。鬼となった
今でも、尊敬しています」

「······はい？ああ、うん······ありがとう？」



あれ？なんか話の方向が······いや、杏奈は
もとから話がとぶことはよくあったけども。
こんなドシリアスの時に、何を言い出すんだ。



「ちょ、違いますよ！？流石の私でも、
ここでふざけるわけないじゃないですか！」


私のなんとも言えない顔、例えるならチベット
スナギツネのようなーーに気付いたのか、
慌てて弁解をする杏奈。

正直、シリアスムードなんぞぶち壊しである。



「······オホン。私がこの型を身に付けたのは、
鬼になってからです。

細胞の構造が変わって、師範から学んだことを
実践して······ようやく、ようやく使えるように
なったんです」

「何で、そこまで······この型にこだわったの」

「私、血鬼術、使えないんです。
······結局、どこまでいっても、中途半端」


そう呟いて自嘲気味に笑う姿に、どこか
過去の闇のようなものを感じて、私は
黙ってしまった。

もしかしたら、杏奈はーー······

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