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「ほらほら、雑魚じゃないなら証明して見せろよ!」
「痛っ、」
「悟、さすがにやりすぎじゃないか…?」
三限目、実技練習。
二人ずつペアを組み、対戦する形で授業は進んでいる。いつもなら悟は傑と組むが、当の本人が「音成さんと組んでみたら?」と提案してきたので、おとなしく従ってみることになったのだ。
結果、悟の中で「こいつは雑魚である」とレッテルが貼られた。
「あっれ〜、もうおしまい? 誰だっけ、『傷つけたくないから戦わない』なんて言ったヤツ? 傷つけるどころか、俺に手ぇ出せてねぇじゃん!」
「……」
さんざん罵倒されるが、うつむいたまま声すら出さないAに、悟はしびれを切らす。
「なんとか言えよ? それとも自分が弱者だって認めてるから反論できなかったり?」
「わ、私は…!」
「なに、弱くないって? 口だけじゃあなんとでも言えるよな、でも、そんなの信用するほど俺はちょろくなぇんだよ!」
しばらくAは口を開く、閉じる、を繰り返したが、やがて決心したようにため息をついた。
「分かりました。…少し、お待ちください」
スタスタと校舎内に戻ったかと思ったら、すぐに帰ってきた。
大きなケースを抱えて。
「は、何それ?」
「なんでもありません、ただの下準備ですよ」
かパリと蓋は空けられて、姿を現したのは…
ヴァイオリン。
「えぇ…」
「素晴らしいでしょう? 世界最高名器、ストラディヴァリウスです」
「えぇ?!」
ケースから取り出した楽器を撫でながら、Aは言う。
値段は安くて1億円程するものを持つ同級生なんて、存在するだろうか。
否、存在しない。
「ですが…本命はこちらではありませんので、ご安心下さい。さ、思い切り楽しみましょ?」
一歩、Aが悟に近づく。
悟はそれに合わせて思わず後ずさりしそうになった。先ほどまでとは打って変わっての態度に、危険を感じているからだ。
「(何、こいつ急に性格変わったんだけど)」
「んー、失礼しますね」
「はぁっ?!」
「ではでは、パブロ・デ・サラサーテ作曲『カルメン幻想曲』、演奏と歌唱は私、音成Aが務めさせていただきます。五条さん、しっかりついて来て下さいね。」
全員が唖然とする中、流れるような動きでAは悟の手を取ってワルツの姿勢に入り、高らかと宣言する。
「私と一緒に、
オドリマショ?」
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友希那(すぐるっちの恋人) - この作品最高 神だ (2021年10月21日 7時) (レス) @page8 id: 63dcc81372 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - わわっ、ほんとだ! ご指摘ありがとうございます、すぐに直します! (2021年7月7日 22時) (レス) id: 598af95725 (このIDを非表示/違反報告)
Ri - コメント失礼します! キーワードの呪術廻戦の廻戦が回線になっています!直した方が良いかと…!!余計なお世話だったらすみません!! (2021年7月6日 22時) (レス) id: c2549dcb90 (このIDを非表示/違反報告)
はるっち(プロフ) - ここ丸さん» あ…ありがとうございます…! なるはやで続きをお届けします! (2021年7月4日 20時) (レス) id: c168d216be (このIDを非表示/違反報告)
ここ丸(プロフ) - すこ…次の話はよ!((ごめんなさい!更新頑張ってください! (2021年7月4日 17時) (レス) id: f6dc3764ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2021年7月3日 23時