ビアガーデン 三 ページ26
「ほんとそーなの。ああいう人はどうしたら好きになってくれるんですかね?」
お兄さんは、目を白黒させた。
「うーん、ハードル高そうですね、狙うには」
分かってはいたが、正直な感想に肩を落としてしまう。
「ですよね、私もそう思う度に自信なくすんです」
どうしたら好きになってもらえるのか、さっぱり分からない。
先輩は昔からモテていた。
あの女子達は知らないだろうけど、普段はおちゃらけてる癖に、戦う時は半端なく強くてかっこいいし。
五条さんに好きになってもらうなら、ただあのマスクに寄ってきている子達には、余裕で勝たないといけないと思う。
でも、私は今、女子達と対決する事から逃げている。
先輩がモテる場面を見たくなくて、戦えもせずに、1人うじうじお酒飲んで。
戦う前から諦めるなんて、もはや負けを認めたようなものだ。
「かっこわる」
独りごちた。
テントの中で座りながらAをぼんやりと見つめた。
七海と一緒にビールを注ぎに行った彼女は、そのまま2人で話し込んでいた。
「お兄さん、お一人ですか?」
気付けば、近くのテントから女子5人くらいに囲まれていた。
「まぁ」
適当に返事しながらAと七海を見やった。
残念ながら自分は酒を飲めない。
Aの同級生でもない。
七海と話すAは、僕と話すのと比べて気が緩んでるように見えた。
彼女と少し話した後、七海はこちらのテントへと戻ってくる。
「あ、七海ー、どーだった?」
帰ってきた七海に、女子達が少しザワつく。
この人もカッコいい、と呟く声が聞こえた。
「どう、とは?」
「A、何か言ってた?」
含ませて言えば、七海は今回の会の主催理由を思い出したようだった。
「まぁ·····疲れでしょ。ちょっと色々頑張りすぎて」
「疲れ、ねぇ」
ため息をつく。
七海の前では色々と話をしたのだろうか。
この前の帰りがけに話した時、僕の前ではAはどうも強がっているように見えた。
見遣れば、彼女はカウンターで、ビールを立ち呑みしている。
カウンターで酒を作る、若いバーテンダーの男と楽しそうに談笑していた。
思わずムッとして、立ち上がった。
周囲にいた女子達が「背高いですね」と黄色い歓声をあげた。
そうだ、この女子達、ずっといたのか。
「ごめん、そろそろ解放してくれる?こういうの見られて誤解されたくないんだ」
少し威圧感を込めれば、今までずっと周りに張り付いていた女子達が、え、と後ずさりする。
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しゃっと(プロフ) - 猫人形 元猫耳アヤツリ人形 (°∀° )さん» いつもコメントありがとうございます(T_T)私が書くと、まわりくどくてあんま甘くない話になるんですが(--;)猫人形さんのコメントに私も癒されまくりました!!今の作品ものんびり更新でしたが・・・頑張る気がわいてきました!! (2021年4月18日 21時) (レス) id: 79cfbcfb05 (このIDを非表示/違反報告)
猫人形 元猫耳アヤツリ人形 (°∀° )(プロフ) - 完結!お疲れ様です〜柔らかい優しさと切なさを兼ね備えていてとても良かったです…忙しくて開けていなかったのですが最後まで読めて心満たされました、、ありがとうございます( ; ; ) (2021年4月18日 9時) (レス) id: d8d7cfe01e (このIDを非表示/違反報告)
猫人形 元猫耳アヤツリ人形 (°∀° )(プロフ) - しゃっとさん» 前作の近くて遠い。も読ませて頂きました!そちらもまた良かったです..はい!更新楽しみに待っています^ - ^ (2021年2月15日 23時) (レス) id: d4943c1156 (このIDを非表示/違反報告)
しゃっと(プロフ) - 猫人形 元猫耳アヤツリ人形 (°∀° )さん» コメント嬉しいです…!ありがとうございます!季節外れなお話ですが頑張って書きますのでまた見にきてください^^ (2021年2月13日 23時) (レス) id: 79cfbcfb05 (このIDを非表示/違反報告)
猫人形 元猫耳アヤツリ人形 (°∀° )(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです!言葉選びとか凄く好みです…! (2021年2月12日 0時) (レス) id: d4943c1156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃっと | 作成日時:2021年1月6日 18時