1年前のあの日2 ページ22
「ねぇ。さっきから何してんの？誰かにメール？」
「まぁ直に分かりますよ。多分、すぐ釣れます」
なんか、すごく嫌な予感がする。
「もしかして、悟のこと？」
「さぁ？」
「ねぇ、悟に言ってないよね？私が彼と別れた事？」
「さぁ？」
明後日の方向を向いたまま、答える七海。
「こら、私の目を見て言いなさいよ」
目線を逸らしたまま七海が近くの店員に声をかける。
「すみません、おかわりの烏龍茶と生1つずつ」
「「「はい、喜んでー！！」」」
店員達の爽やかな合唱を聞きながら、私はがっかり肩を落とした。
悟に私のプライバシーが漏れている事は時折あった。
まさか七海がそんな事する訳ないと、厳選して誘ったつもりだったのに。
こんな身近にスパイがいた。
悟にこんなことで使われるなんて、逆に可哀想になってくる。
「何か弱みでも握られてるの？」
「違いますよ、あなたと二人で飲みに行くと面倒だと言ったでしょう。交換条件で布石を打ったんですよ」
何言ってるのか、さっぱり意味が分からない。
でも、悟に情報を流してるという疑惑は否定しない。
「べつに別れたのを知られた所で、不味い事も無いでしょう。いつかはバレるんですから。」
「それは、そうなんだけど。」
今は、悟という名前を聞くと耳が痛くなる。
それもこれも、昨日振られた原因が関係してる。
「お待たせしました、生と烏龍茶でーす」
届いたビールを、早速一気飲みした。
「ところで、別れた原因は？」
「うー·····。それ聞いちゃう？」
「その話をしたかったんでしょう？」
「悟のスパイなら話は別！」
きっと七海を睨む。
「そんな何でもかんでも筒抜けにはしませんよ。必要な手の内を晒しただけ。私も大人ですから、個人情報は守ります」
いや、どの口が言うんだ。
聞いた端からメールしてた癖に。
不貞腐れつつ、きゅうりを口に放り込む。
「やっぱり一般人相手って難しかった。仕事の事も理解してもらいづらいし。」
七海も烏龍茶片手に、きゅうりをかじる。
「まぁ、確かに住む世界は違う。でもそんなの始めから分かってたでしょう。他に振られた理由でもあったんですか」
「七海·····痛い痛い。もうちょっと優しく聞いてよ。振られたてなんだから」
「それは失敬」
七海の言う通り、別世界なのは分かってたし、むしろだからこそ彼を選んだ。
ハイスペックな悟との隔たりを感じるのが辛かったのもある。
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しゃっと(プロフ) - しぃぷさん» コメントありがとうございます！自己満だなぁと思いながら書いてたので、こんな褒めてもらえるなんて…！嬉しすぎます。ありがとうございます！また新しいお話もがんばるので、そちらにもぜひお越しください〜。 (2021年2月4日 23時) (
レス) id: 79cfbcfb05 (このIDを非表示/違反報告)
しぃぷ(プロフ) - いや、マジで天才かと思いました。めっちゃ好き過ぎる……話の構成も流れも最高です！！完結おめでとうございます！新作が出たら1番に応援しに行きますね！素敵な作品を有難う御座います！！ (2021年2月2日 13時) (レス) id: c3f6824249 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃっと | 作成日時：2020年12月5日 14時
