2年前のあの日 別目線編6 ページ17
気付かないうちに、硝子の所で大分時間を潰していたようだ。
日差しは傾いてきている。
長いこと、Aの事が好きで、でも素直になれなかった。
高専時代からAの事をからかってばかり。
思い出すは数年前の丁度この日。
彼女の記念日に、贈り物をすると見せかけて、虫の玩具を髪の毛に差し込む悪戯をした。
相当キレられた。
それから2週間近く無視され続け、精神的にかなりこたえたのを覚えてる。
あの時Aが口にしたような、優しく紳士なイケメンには、なかなかなれなかった。
流石に大人になった今は、高専時代より大分落ち着いてる。
だけど、昔の名残もあってAにはなかなか優しく振る舞えなかった。
会いに行く口実の資料を叩きながら歩く。
部屋につけば、Aは一人で仕事をしていた。
丁度良い。
軽い雑談を交わした後、直球で本題を突きつけた。
何故男が出来た事を教えてくれなかったのか。
僕に何の相談もなく。
追求すれば、彼女は困ったように笑った。
「悟、ごめんね。そんな拗ねないで。」
あやす様に、Aが言う。
あの初任務であの子にしたように、彼女が僕の頭をぽんぽんと撫でる。
「彼氏が出来たとしても、私は悟と仲良くしたいの。私と悟の関係は、変わらない。でしょ？」
変わらないか。
変わらない。
それが心地よかった筈なのに。
「··········そうだな、変わんないね。」
嘘ぶきながら、ポケットに手を入れれば、昨日買ってきた髪飾りが手に触れる。
これを彼女に贈ることで、何かが変わらないか。
硝子にはあんな風に啖呵を切ったが、いざAに会うと途端に自信が無くなってしまう。
彼女の笑顔は清々しくて、僕への未練を探してみても見つけることが出来ない。
今更かもしれない、でも。
Aの髪を梳き、綺麗に編み込んでいく。
これから自分以外の男に会いに行く彼女に。
後悔すればいい、と願いながら、髪飾りをぐっと差し込んだ。
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しゃっと(プロフ) - しぃぷさん» コメントありがとうございます！自己満だなぁと思いながら書いてたので、こんな褒めてもらえるなんて…！嬉しすぎます。ありがとうございます！また新しいお話もがんばるので、そちらにもぜひお越しください〜。 (2021年2月4日 23時) (
レス) id: 79cfbcfb05 (このIDを非表示/違反報告)
しぃぷ(プロフ) - いや、マジで天才かと思いました。めっちゃ好き過ぎる……話の構成も流れも最高です！！完結おめでとうございます！新作が出たら1番に応援しに行きますね！素敵な作品を有難う御座います！！ (2021年2月2日 13時) (レス) id: c3f6824249 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃっと | 作成日時：2020年12月5日 14時
