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大きく伸びをして首を左右にならす。
ついでにEnterボタンをこれでもかと強く押す。
「よーし、できたぁ〜!!」
「お疲れ様です、Aさん。いつも以上に仕事、早いですね。」
「伊地知さん褒め上手〜。今日は頑張っちゃった。」
定時丁度、身支度を整えてPCの電源を落とす。
「じゃあちょっと早いですけど、お疲れ様でーす」
外はまだ明るい。こんな明るい中帰れるなんて、幸せすぎる。しかも明日は休みときた。
足取り軽く歩いていると、前方から歩いてきた人影が、私に向かって手を上げる。
「Aさん!もう帰んの?」
「あら、悠仁。今日は頑張っちゃった〜何より邪魔してくるいつものやつもいないしね。」
「あー五条先生、出張って言ってたなぁ。名古屋の方だっけ?」
邪魔してくるやつ=悟なのは合ってるんだけど、生徒にもそう認識されてるなんて、教師としてどうなの。
「悠仁も早く帰りなよ〜」
手をひらひら振りながら通り過ぎようとすると、慌てた声が後ろから追いかけてくる。
「あ、待って待って!Aさんに用あったんだよ!」
「へ?そうなの?」
振り返ると、窓から差し込んだ西日が悠仁のダスティピンクの髪を綺麗に照らしている。
光に当たった耳が、心無しか赤く見える。
「えーと、いつも、そう、お世話になってるからさ。明日って聞いて。だからその〜。これ、買ってきたんだ。美味いって聞いて。」
ん、と彼が押しつけるように出してきたのは、有名パティシエが監修してる話題のケーキ屋の袋。
「わ·····嬉しい、ここ最近オープンしたとこよね?」
微笑めば、彼が頭をがしがし掻きながらそっぽを向く。
「こういう店あんま詳しくないんだけど·····」
「でも調べてくれたんでしょ?嬉しい、ありがと。」
「お、おぅ、じ、じゃあ、さよなら!」
たどたどしく言葉を紡ぎながら、悠仁が背中を向けて廊下を走って行くのを見送る。
·····可愛いなぁ、ほんと。
ふふふと笑いながら、私も悠仁に背中を向けて歩き出した。
コンビニでスイーツでも適当に買おうかと思ってたけど、貰えた方が数十倍嬉しい。
「ただいま〜っと。」
誰もいないお部屋に挨拶して、台所に立てば、料理の味付けもいい感じ。
何となく今日ぐらいは自分を磨いてやろうとスクラブやらトリートメントやら引っ張りだしてたら、すっかり長湯してしまった。
夕食を温め直して、キンキンに冷えたビールを取り出す。プルタブを開けようとした時、ピロンとスマホが鳴った。
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しゃっと(プロフ) - しぃぷさん» コメントありがとうございます!自己満だなぁと思いながら書いてたので、こんな褒めてもらえるなんて…!嬉しすぎます。ありがとうございます!また新しいお話もがんばるので、そちらにもぜひお越しください〜。 (2021年2月4日 23時) (レス) id: 79cfbcfb05 (このIDを非表示/違反報告)
しぃぷ(プロフ) - いや、マジで天才かと思いました。めっちゃ好き過ぎる……話の構成も流れも最高です!!完結おめでとうございます!新作が出たら1番に応援しに行きますね!素敵な作品を有難う御座います!! (2021年2月2日 13時) (レス) id: c3f6824249 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃっと | 作成日時:2020年12月5日 14時