推しがリスナーに告白とか心臓に悪いんでやめてください【紫】

スキンシップは時と場所を考えて ページ23

「大丈夫、俺リーダー兼社長だから」と職権乱用する気まんまんの発言をしているなーくん。


『お気持ちは嬉しいですが、切実にやめてください』


グッツを置く場所もないし、”推し本人”から大量のグッツをもらうのも色んな意味で恐ろしい。



ななもり「じゃあ、俺のグッツだけ贈るね」

『話聞いてました！？』


このセリフをなーくんに言うの何回目だろうか。

なーくんってこんな人の話を聞かないタイプの人間だったっけ。



ななもり「グッツ欲しくないの・・・？」


寂しそうな声で問いかけるなーくん。うっ！心が痛い！！



『グッツは欲しいんですけど、”ななもりさん”から頂くっていうのが怖いんですよ』


なーくんは「え？」と不思議そうな顔をした。いや、逆になんで分からないんですか。



ななもり「グッツ贈っちゃダメかな？」


まるで子犬のみたいな瞳と、心からお願いしているような優しい声で聞いてきたなーくん。



ー−−本当に、私の推しはずるい。



『・・・なーくんのグッツだけ頂きます』


そう言った瞬間、なーくんはパッと顔を輝かせて私に抱き着いてきた。


ちょ、苦しい・・・！



ななもり「ありがとう!」



私の耳元で凄く嬉しそうな声を出してお礼を言ったなーくん。


なーくんが幸せそうだと私も嬉しいけど、私の耳元で話さないでほしい。



『・・・って、公共の場で抱き着かないでください！！』



私はなーくんの体を押し返した。


ほんと、配信者としての意識があるのか心配になる。



ななもり「それって、公共の場じゃなかったらハグしてもいいの？」


クスクス笑いながら問いかけてきたなーくん。



『どんな場所でもハグはしないでください！！』


なーくんはああ言えばこう言う、厄介なタイプになっていた。


「残念だなぁ」と楽しそうに言ってるけど、全然残念そうに見えない。



通りすがりの人１「あのカップル可愛くない？」

通りすがりの人２「ね、ピュアなイチャイチャって感じで微笑ましいよね」



近くのお客さんに笑われてしまった。いや、めちゃくちゃ恥ずかしいな！



ななもり「カップルに見えるって。俺たちはお似合いってことかな？」


『凄くポジティブ思考ですね、ななもりさん！？』



なーくんは「冗談だよ」と言って笑った。

・・・マズイ、このままじゃなーくんのペースに飲み込まれてしまう。



私は「そろそろ移動しましょう！」と言いながらなーくんの手を引いて歩き出した。

手を繋ぐのなんて、幼稚園のとき以来なんですが！？→←職権乱用って言葉知ってます？

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