記憶を失った彼らは (ページ9)

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8話ページ9

女の子は僕が起きていると分かるとこちらに笑顔を向けた。

「目が覚めたんですね。先程の事があって心配していたのですが、大丈夫そうですね。」

『え……あ、さっきはどうも……』

さっき、女の子に迷惑をかけてしまった事もあり、そんな風に言われると思っていなくてたじろいでしまう。

なんなら、目も泳いでいて傍から見ればおかしな人だろう。

あまりにも(自分にとっては)突飛な出来事で一瞬頭が真っ白になっていたが、女の子が来るまで考えていた事を思い出す。

『あ、の……えっと』

でも、今その事を聞いてもいいのだろうかと思ってしまいどもっていると

「おい！喋りたい事があるならちゃんと言えよ！」

という声が聞こえてきた。

この場にいるのは僕と女の子(あと豚)だけで、他に喋った人なんていないのにと、周りを見渡してしまう。

「ホークちゃん、駄目でしょ、そんなふうに言ったら。」

と、女の子が豚(ホーク？)の方に目を向けて話し始めた。

僕がその事に対して目を丸くしていると、

「だってエリザベスちゃん。あいつ、何を言おうとしたか分かんなかったぜ？こっちにも分かるように言ってくんねーと。」

とりあえず、女の子と豚の名前がエリザベスとホークだということは分かったが。

(え、豚って喋るの？)

そう、豚が喋るなど僕の記憶にはない。(そもそも、記憶がないのだが)

もしかしたら、動物も人間と同じように話したかもしれないと思ったが、そんな衝撃的な事実を覚えていない訳がない。

『えっと、喋れるん、ですか。』

戸惑いがちに尋ねると

「おう！そんじょそこらの動物たちと一緒にしてもらったら困るぜ。なんたって俺は、残飯処理騎士団団長、ホーク様だからな！」

と返ってきた。

残飯云々はよく分からないけど、普通動物は話せないという事は理解した。