【短編集】終わりと始まり【2j3j】

終末　|ngo ページ9

「景、別れよう？私たちは…っ」

言葉に詰まる彼女。

「…やだ」

「…でも、でもさ」

「俺のこと好き？」

「そんなの、当たり前じゃん…」

「…じゃあ、別れよっか、

別れてもずっと好きなのが変わらないなら」


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「ふぁ〜…」

久しぶりに夢をみた気がする。最近魔が多くて充分な睡眠が取れてなかったというのもある。

それにしても、なんだあの夢。俺と誰かが別れる夢。今付き合ってる人なんていないし最後に恋人がいたのなんてとても前だ。なんてったって任務が絶えないから。


まあ、なんでもいいか。顔を洗って、髪を結う。今日も稽古。もっと、もっと強くなってみんなを守らなければ。脳裏には晴と藤士郎の姿をはじめとしたいろいろな人たち。その中にあの夢に出てきた顔もいて。え？待ってくれ、俺はあの顔なんて知らない。いや、今日の夢が印象強かっただけだ、そう言い訳をした。



準備を終え、稽古に出かける。その時。


携帯が緊急時のアラートを鳴らす。
晴からだった。


「…魔の長がっ！！桜魔皇国に、いや、その、いるんだ！！とにかく長尾来てくれ！」


切羽詰まった様子の晴の声の向こうに人々の悲鳴。

「わかった、すぐ行く」

どういうことだ、最近魔が多いと思っていたら、魔の長だと？予兆だったのか？とにかく急がないとあの様子だと晴も危ない。
俺は急いで家を出た。


「…は？おい、え…」

目の前に広がるのは地獄と言っても過言ではない惨状。
人が倒れ、赤い液体が水たまりのようになって、呻き声が四方八方から聞こえる。その中にはかつて共に闘った同志たち。


「…っ」

とりあえず、倒さなければ。
そう思って無心に刀を振る。
今いる人だけでも、救わなければ。


「…長尾ッ！！！！長はあれだよっ」


知っている声が聞こえて振り返ると指をさした晴。その顔、手には赤色。

「晴…？怪我したのか…？！？」

「違う、治療してただけ。

それよりも、長の様子がおかしいんだよ！」


他の祓魔師たちに場を託して長のところへ。


その指の先を見ると、




今日夢で見た、顔。

「…どういうことだ？」

終末　|ngo→←聖夜はきっとある　|segs

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す