突然 |segs ページ34
止まりそうにない咳と苦しさ。息を吸えないことに焦って更に吸えない。あれ、どうやって息吸うんだっけ…?
もう意識を手放しそうな中、ぴんぽん、と音が鳴る。
「ぁ…き、な…あ、っげほ」
か細い声は部屋に吸い込まれる。
「…?Aちゃーん?入るよー?」
玄関からそんな声が聞こえて、がちゃ、と鍵の回る音がする。
来てくれてる、よね?もう現実かどうかなんてわからなくて。辛くて涙が止まらなくて。
「ヒュー…ぁ、き、な…っ」
私ここにいる、助けて、っていえなくて。
「…おーい?お邪魔します…」
だんだん足音が近づいてきてる。
「…!!Aちゃん!?大丈夫!?」
「あ、…きな、げほっゼーゼー」
動揺してるみたいだけど、背中をさすってくれる。
「…大丈夫、落ち着いて〜、そうだよゆっくり息吐いてね、はい、スゥー」
「ひぁ、っすぅーはー」
ゆっくり、ゆっくり…吐く…
「んー、えらいえらい!その調子!」
明那がいるという安堵感と落ち着かせてくれるように背中をさすってくれたおかげで少しずつ呼吸できるようになってきた。
「ご、め…あきな…っ」
「治ってきた?」
心配そうに顔を覗き込まれる。その頬に思わず手を伸ばす。
「夢…?ほんとに、ほ、んとうにいる…、?」
「いるよ、ちゃんと」
そう言って伸ばした手にほっぺをすりすりしてくる。
「よか、った、ぁ…」
あったかい。
「休もか〜、立てる?」
うん、と言って立ち上がるけどふら、として。
気付いたら明那の腕の中にいた。
「…もー。危ないやん」
そう言いながらひょいと私を抱えると寝室のベッドに降ろされる。
「あ、りがと」
普段絶対にしてこないからつい顔が赤くなっちゃう。
「まじで俺来んかったらやばかったやん、心配するってぇ…」
顔を覆いながら言う明那。
「ほんと、ごめん」
喘息を持ってることは伝えてはいたけど実際彼の前では発作が今まで起きたことはなかった。
「ん、いいよいいの、ほら、欲しいものとかある?水取ってこようか?」
部屋を出ようとする彼の袖を掴む。
「んーん、いらない…あ、きな、行かないで…っ」
尻すぼみになる言葉と赤くなる顔。
「うぇ、えっ、あ、はい…どこにも行きません…」
メッシュと同じくらい明那の顔も赤くて。
「手…」
おずおずと差し出された手に自分のを乗せる。
きゅ、と結ばれた手の温もりは私の心もあったかくしていた。
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お米(プロフ) - (°д°)ポカンさん» 遅くなりすみません!ありがとうございます!ちゃんと読めました!! (2022年10月26日 21時) (レス) @page3 id: 951a0df5c4 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - Hinaさん» 好きと言っていただけてとっても嬉しいです…!またリクエストありがとうございます!遅くなってしまうかもしれませんが書きますね! (2022年9月26日 19時) (レス) id: 2a01933ca8 (このIDを非表示/違反報告)
Hina - 凄く…好きです……あの、ほんとに出来たらでいいんですが、Chapter:4とChapter:5でysrさん、orb•ebnsさん、skngさんって出来ますかね……?(リクエスト多くて申し訳ない💦) (2022年9月22日 15時) (レス) id: 66b5211ad3 (このIDを非表示/違反報告)
(°д°)ポカン - お米さん» 作者さんではないんですけど…私は最初は822って打ってたんですけど読めなかったので0822と打ってみたら読めました。もしこれも試していたならすみません…。 (2022年8月17日 20時) (レス) @page45 id: 455b891510 (このIDを非表示/違反報告)
お米(プロフ) - とても読みやすくて気に入ってます!「真実は」の続編が見たく、privatterで作品に記載されている通りにパスワードを入れてみたのですがいろんな方法で何回試しても開けません。どうしたら見れますかね…? (2022年8月12日 22時) (レス) @page3 id: 951a0df5c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月23日 10時