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救い |kne ページ23

きらきらと光る刃。
袖をまくると、傷まみれの肌が見える。

そこにゆっくりと光を近づける。
赤色が床に広がってゆく。

頬から伝った液体と混ざって赤が薄まる。

部屋には他には誰もいない。


はずだった。


「何してるの」


不意に声がして、咄嗟に手を後ろに隠して振り返る。


「か、叶くん、?」


おかしい、まだ彼が帰ってくる時間帯ではなかったはず。


「ね、何その血」


「な、なんもないよ…?ちょっと怪我しちゃって」


「うそつき」


つかつかと寄ってきて、目の前にしゃがむ彼。
私の頬の涙を人差し指で拭う。


「どうして、辛さを1人で抱え込むの?」


「そ、そんなことな…」


「ふーん、じゃこうしてもいいんだ」



彼は私がさっきまで持っていたカッターを自分の手首に押し当てる。
当たる寸前でその手を掴む。

「…だめ、叶くん、怪我しちゃう」


「自分はしてるのに?」


彼の手を掴んでいた赤が伝う手を見られる。


「叶くんは、だめ」


「それとおんなじ気持ち、してるんだけど」


「…でも、私は別に、別に痛くても、私なんか」


弱いとこ、辛さが滲み出そうで慌ててカッターを奪い取り自分の手に押し当てる。


「…っ、なんも、ないから」



「…辛いこと、あるんでしょ?この傷の数だけ」



違う、大丈夫なんて言おうとしたのに溢れるのは嗚咽とたくさんの涙と、さっき切った傷の液体。


「僕じゃ、頼りない?」



「ち、が」


「ねえ、もっと頼ってよ、こんな傷ついたAちゃんなんて見たくない」


その優しさに涙が止まらなかった。

それと同時に、カッターを握る手に力が入る。
こんなに優しくされるべき人間なんかじゃないのに。
包帯を取りに行った叶くんを待つ間、手は止められず柔らかい皮膚から溢れるものが増える。


「こら、何してるの」


「だって、だって…っ」


言葉に詰まる私の背中をさすってくれる。


「叶、くん、辛いよ、つら、いっ、辛い」



「僕がいるから、なんでも頼って」



「痛いよ、いた、い…くるしい、きつ、い」



「泣いていいんだよ、ね?ほら」



「…っごめん、しんぱ、いかけたくないのにっ」


「言ってくれない方が、悩みを共有しない方が僕にとっては辛いよ」


「…か、なぇくん、っ」


嗚咽が止まらない私をやさしく抱きしめる。



「全部僕が受け止めるから、一緒に生きよう?」

_______
話書いた後に題名考えるのでめっちゃ悩みます、センス皆無ですみません。

守ってよ |lin→←分け合う |fw



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お米(プロフ) - (°д°)ポカンさん» 遅くなりすみません!ありがとうございます!ちゃんと読めました!! (2022年10月26日 21時) (レス) @page3 id: 951a0df5c4 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - Hinaさん» 好きと言っていただけてとっても嬉しいです…!またリクエストありがとうございます!遅くなってしまうかもしれませんが書きますね! (2022年9月26日 19時) (レス) id: 2a01933ca8 (このIDを非表示/違反報告)
Hina - 凄く…好きです……あの、ほんとに出来たらでいいんですが、Chapter:4とChapter:5でysrさん、orb•ebnsさん、skngさんって出来ますかね……?(リクエスト多くて申し訳ない💦) (2022年9月22日 15時) (レス) id: 66b5211ad3 (このIDを非表示/違反報告)
(°д°)ポカン - お米さん» 作者さんではないんですけど…私は最初は822って打ってたんですけど読めなかったので0822と打ってみたら読めました。もしこれも試していたならすみません…。 (2022年8月17日 20時) (レス) @page45 id: 455b891510 (このIDを非表示/違反報告)
お米(プロフ) - とても読みやすくて気に入ってます!「真実は」の続編が見たく、privatterで作品に記載されている通りにパスワードを入れてみたのですがいろんな方法で何回試しても開けません。どうしたら見れますかね…? (2022年8月12日 22時) (レス) @page3 id: 951a0df5c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月23日 10時

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