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幕間 ページ31

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それは、余りにも突拍子の無い話だった。
酷く不安定で、現実味の無い話だった。

「神様、って……?」

最初に、震えた声で問うたのは佐久間だった。

そうして、泣き続ける彼等の口から出たのは、酷く傷ついた未来の話だった。
常ならば、誰が信じるんだそんなものと馬鹿にしていただろう。
けれど真剣で、悲痛で、今にも消えてしまいそうな彼等を前にそんな馬鹿なと一蹴出来る者などいなかった。

唖然とする皆の前に、すっと高地が出て、袖を捲った。
そして、近くにいた田中に剥き出しの腕を差し出す。

「こーち?」

「……触って。」

一体何をと彼の名を呼んだ田中に、高地は静かにそう返す。
田中は恐る恐るその腕に触れ__悲鳴と共に後ずさった。

「高地、それ、」

「何!?樹、どうしたの!?」

青褪めてしまった田中に、ジェシーが駆け寄り声を掛ける。
田中ははくはくと口を動かして震えていて、ジェシーがその背を撫でた。
そんな二人を見て、高地の腕を掴んだのは松村だった。
松村は大きく瞳を見開いて、あ、と小さく呻いた。

「……分かるでしょ。」

ふっと、泣きながら自嘲気味に笑った高地。
今までにないくらい苦しそうな微笑みだった。

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user(プロフ) - bamさん» ありがとうございます!スローペースですが今後も楽しんでいただければ嬉しいです! (7月9日 4時) (レス) id: aa6a12d65e (このIDを非表示/違反報告)
bam(プロフ) - この先どうなるかドキドキしながら見守る気持ちです。更新楽しみにしています! (7月8日 14時) (レス) id: e2f44e88a0 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - 中身のないミカンさん» ありがとうございます、コメント嬉しいです!励みになります! (2021年11月4日 3時) (レス) id: bc32234889 (このIDを非表示/違反報告)
中身のないミカン(プロフ) - こちらの作品も他の作品も好きです。個人的好みなので更新楽しみです (2021年11月2日 5時) (レス) id: b0e448d7d6 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - 名前しずくさん» ありがとうございます!その言葉がモチベーションに繋がります!嬉しいです! (2021年10月30日 0時) (レス) id: bc32234889 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:user | 作成日時:2021年10月28日 3時

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