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中村はちらりと辺りを見渡す。
確かに、廊下にはジュニアを筆頭にスタッフを含む関係者等、人が多い。
何名か、こちらを気にしている様子の者も見られる。
「そうだね。如恵留、歩ける?」
「下向いてて良いよ。俺、手ぇ引いたげる。」
川島もあまり注目を浴びたく無いだろうと吉澤が声を掛けると、川島は小さくこくりと頷いた。
松田が川島の手を握り、中村と松倉が先導して道を作った。
何処でも大丈夫だろうと使われて無さそうな適当な部屋の扉を中村が開ける。
「あれ、」
と、目論見が外れた。
中村が開けた扉の先、本来なら真っ暗な筈の小さめの控室。
そこは既に電気がついていた。
室内の中心の方に、誰かが座っていて、それを取り囲む様に立っている何人か。
そのどれもが、見知った顔だった。
「あ、すみません、今ちょっと……あれ?」
「……HiHi Jets?」
その部屋にいたのは、HiHi Jetsのメンバーだった。
彼等も、部屋に入って来た中村と、その後ろにいる人達を見て、きょとりと瞬きをしている。
「あれ、猪狩?」
「え、大丈夫?」
「あ……。」
しまったと顔を顰めたのは、中村が扉を開けた時に一番に止めに入った橋本だ。
結局全員入ってしまったTravis Japanに、どうしようと困っている様子の橋本の後ろ。
メンバーに囲まれて椅子に座っている猪狩が見えたのだが。
彼も川島と同じ様に、泣いていた。
川島が静かに泣くのとは反対に、猪狩は肩を震わせてしゃくり上げている。
ひっくひっくと漏れる音は、聞いているだけで苦しくなる。
「そっちも、大丈夫ですか?」
「優斗。」
橋本の後ろから、声を掛けて来たのは高橋だった。
高橋は椅子を差し出して、俺らの事は気にしないで下さいと軽く頭を下げた。
正直、気にはなるがお互いにそれどころでは無いのでその言葉に頷いて、有り難く椅子を拝借した。
「如恵留君、座って。」
中村が椅子を差し出してそう言うと、川島は大人しく其処に座った。
未だ川島の涙が止まる様子は無い。
心配して声を掛けても、一向に口を開いてはくれないままだ。
「ガリさん?」
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user(プロフ) - bamさん» ありがとうございます!スローペースですが今後も楽しんでいただければ嬉しいです! (7月9日 4時) (レス) id: aa6a12d65e (このIDを非表示/違反報告)
bam(プロフ) - この先どうなるかドキドキしながら見守る気持ちです。更新楽しみにしています! (7月8日 14時) (レス) id: e2f44e88a0 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - 中身のないミカンさん» ありがとうございます、コメント嬉しいです!励みになります! (2021年11月4日 3時) (レス) id: bc32234889 (このIDを非表示/違反報告)
中身のないミカン(プロフ) - こちらの作品も他の作品も好きです。個人的好みなので更新楽しみです (2021年11月2日 5時) (レス) id: b0e448d7d6 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - 名前しずくさん» ありがとうございます!その言葉がモチベーションに繋がります!嬉しいです! (2021年10月30日 0時) (レス) id: bc32234889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:user | 作成日時:2021年10月28日 3時