二人のお家 (ページ7)

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お仕事のお話ページ7

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「涼太、不安？」

マネージャーの運転する移動車の中で、宮舘と二人きりになった渡辺が口を開いた。
渡辺の質問に宮舘は沈黙で返したが、それは肯定と同義だった。
少し下がった視線は、隣に座っているのに渡辺と交わらない。

渡辺はそんな彼の姿を見て、成長したなぁだなんて思う。

以前は、佐久間と付き合うよりももっと前から、それこそ幼馴染として過ごしていた時から。
宮舘は自分の痛みを隠す性質を持っていた。
隠して、痛みが消えてしまうまで一人で闘って更に傷ついて、それすら黙って。
全てが終わってから過去の事として話す、そんな人だった。

それが、今はどうだろう。
今でもその性質が変わった訳では無い。
性質は変わりようが無い。
けれど、こうして素直に痛みや不安に怯えていると示してくれる様になったのは、成長だと渡辺は思っている。
頼ってくれる様に五人で粘って、途中からは八人で躍起になっていたのに。
いつの間にやらたった一人に懐柔されてしまっていた。
恋人となった佐久間が、ゆっくり、確実に宮舘の心を解いたのだと渡辺は知っている。

「……今日は俺もいるから、前みたいなことにはならねぇよ。」

というか、俺がさせない。

渡辺の言葉に、宮舘は漸く顔を上げた。
ぱちりと瞬いて、ふっと微笑んだ。

「……頼もしいね。」

当たり前だと宮舘の頭をわしゃわしゃと撫で回した渡辺は、照れくさくなって窓の方を向いてしまった。
くしゃくしゃになってしまった髪の毛を整えながら文句を言う宮舘を無視して、渡辺はそうだと決意を新たにする。

絶対、あの時みたいなことにはさせない。