二人のお家 (ページ5)

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指輪のお話ページ5

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「おっはよー！って誰もいねぇ！！」

「俺に合わせて出てるんだからそりゃ一番乗りになるよ。」

佐久間と宮舘が共に暮らし始めてから暫く経つ。
一緒の家に居るのにわざわざ家を出る時間をズラす必要も無いだろうと、二人は同じ仕事の時は一緒の時間に家を出る様にしている。
遅刻など有り得ない、休むなど以ての外な宮舘に合わせて家を出ると、かなり早くスタジオに着く。
渡辺や阿部などは、佐久間の遅刻が無くなって良いことだと笑っていた。

免許を未だ持っていない宮舘からしても、佐久間の車で行く様になったので以前より遅い時間に出られる分、家の事を出来るので助かっているのだとか。
特にカラスを避けて道を遠回りする必要が無くなったのは大きい。

「大介、指輪。」

「あ、そうだった！はい！」

二人の左手、その薬指にはお揃いの指輪が光っている。
仕事の時は外すという約束を互いに交わしている二人は、スタジオに着いてから専用の箱に指輪を入れる様にしていた。
いくら公表したとは言え、表立って二人がそういう関係だというのを押し出す訳にはいかない。
故に指輪は外すし、呼び方も以前と同じ様に苗字で呼び合っている。

二つの指輪を、一つの箱へ。
そうして鞄の中へ大切に保管する。

＿＿少しだけ、寂しいけれど。

「おはよう、今日も早いね。」

「阿部ちゃん！おはようピーマン！」

「阿部、おはよう。」

暫く二人で話していると、扉が開いて阿部が入ってくる。
挨拶を交わして、佐久間は阿部にじゃれつきに行き宮舘は端の椅子に座った。
特にすることがある訳でも無い彼は、携帯端末を操作して適当なニュースを見ていた。