二人のお家 (ページ11)

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キッチンへ向かう宮舘を見送って、渡辺は何をするでもなくぼんやりと天井を見上げた。
クリーム色の柔らかい壁紙は温かな印象を抱かせる。
二人の住む家にぴったりだと阿部が言っていたのを思い出す。

前途多難、ずっと不安。
痛がって寂しがって、別れる理由を大事に取って置いて、良いタイミングでそれをぶちまける、そんな恋人関係だった二人。
そんな二人がこうして一緒に暮らすと決めた時は、渡辺達も酷く驚いたものだ。
特にずっと二人を世話してきたつもりの阿部と渡辺は大丈夫なのかと心配で仕方がなかった。

＿＿杞憂だったけれど。

一緒に暮らし始めた二人には、以前の様な危うさはもう無い。
今となっては至って普遍的な、何処にでもいるカップルだ。

「翔太、紅茶で良かった？」

「ん、何でもいいよ。」

ふわりと優しい匂いがして、宮舘がカップを二つ持って戻ってきた。
持ち手が青い方を渡辺の前に置き、宮舘は再びソファに座る。
ちなみにこのカップ、持ち手がメンバーカラーになっているものが全部で九つある。
それだけしょっちゅうメンバーが泊まりに来るのだ。
そんな訳で。

「俺今日泊まる。」

「そんな気はしてたよ。」

本日は渡辺が泊まっていく様だ。
佐久間が帰ってくるまで、宮舘を一人にしたくないという気持ちが丸見えな渡辺が泊まらない訳が無かった。
大丈夫なのになぁと思いつつ、心強さを感じているのも本当のことなので、宮舘は苦笑しか出来なかった。

特に話す事も無く、静かに時が経っていった。