20 プライド ページ20
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「 ほんまはさ、篠原ちゃんのこと
噂になる前から知ってた 」
長すぎた沈黙を破って
藤井流星の手が離れていった。
「 去年の今くらい、」
手すりに両ひじを置いて
グラウンドを見下ろしながら
藤井流星が言葉を落としていく。
「 目、合ったやろ 」
どくん、と心臓が跳ねる。
あのときのことを、彼も覚えていたなんて
うれしいのか
恥ずかしいのか
よくわからない気持ちが胸を埋めて。
「 しかも２回 」
「 …覚えて、たんや 」
「 ヘンな子やなって思ったから 」
私を見ない横顔が笑って
その目は、
野球部が打ち上げた球を追いかけていた。
「 はじめは、つまんなそーって思った 」
「 は？ 」
「 篠原ちゃん、育ち良さそうなのに
くたびれてるみたいで、正直 見下してた 」
そろそろ短くなってきた煙草を
携帯の灰皿に押しつけながら、
彼はあのときみたいに鼻で笑って。
それからゆっくり
私を見て、ぶつかった視線に
目を細めて笑った。
だけどその視線は
すぐにグラウンドに戻っていって
また、藤井流星の声が耳に届く。
「 けど、俺みたいやなって思ってん 」
「 え、」
「 強がってるように、見えたから 」
泣くのも笑うのも我慢して、
居場所がなさそうに彷徨(さまよ)ってる、やろ？
そう言ってまた、彼の目が私を映す。
私を見透かしていくようなその目に、
どうしてかまた鼻の奥が熱くなって
彼の綺麗な顔が歪んで見えた。
「 篠原ちゃんはさ、」
冷たい手が、濡れた頬をなでる。
「 きっと、自分の居場所を探してる
浮浪ライオンやね 」
そう言って、藤井流星は
私の肩を抱いて
唇が重なった。
涙と煙草の味が口いっぱいに広がって
熱い舌が絡まって。
目眩がするくらい、優しい優しいキスだった。
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蒼蔵みほ(プロフ) - なこたんさん» この重岡くんは 本当に強くて、だけど本当は切なくて苦しい、抱きしめてあげたくなるような子にできればと思い書いていました。なこたんさんから心を寄せてもらって、彼も報われたかもしれません。いつも私の作品とキャラクターを愛してくださり ありがとうございます。 (2017年1月31日 12時) (
レス) id: ac1d6ae13e (このIDを非表示/違反報告)
蒼蔵みほ(プロフ) - なこたんさん» なこたんさん、遅いだなんてそんなことお気になさらないでください。こちらこそ、いつもお返事が遅れてしまいすみません(>_<)情景描写には特段の思い入れがあるので、着目していただけてうれしいです(;_;) 重岡くんの心情を思って涙してくださったのですね。 (2017年1月31日 12時) (レス) id: ac1d6ae13e (このIDを非表示/違反報告)
蒼蔵みほ(プロフ) - たかゆうさん» ありがとうございます。最後までお読みくださりありがとうございました。あたたかい気持ちになっていただけたでしょうか。たかゆうさんに気に入っていただけるような作品を、また書けるようにがんばりますね。コメントありがとうございました。 (2017年1月31日 12時) (レス) id: ac1d6ae13e (このIDを非表示/違反報告)
蒼蔵みほ(プロフ) - YUZUさん» ありがとうございます。面白いと思っていただけてうれしいです。これからも頑張りますね。コメントありがとうございました(^-^) (2017年1月31日 11時) (レス) id: ac1d6ae13e (このIDを非表示/違反報告)
蒼蔵みほ(プロフ) - とびっこdeジャスミンさん» ありがとうございます(^-^)あとがきまで読んでくださったのですね。私の作品は説明不足になりがちですが、一語一語、すべてに意味を持たせて書いています。それに気づいていただけてうれしいです。ありがとうございました。 (2017年1月31日 11時) (レス) id: ac1d6ae13e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼蔵
| 作成日時：2017年1月8日 21時
