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翌日、昨日より少しだけ元気になった彼と一緒に登校する。元々少ない口数が無言になったが、それでもいいと思う。私は彼が無言でもお喋りでも、どっちだって一緒に登校しただろう。

彼と別れて教室に入る。何だか久しぶりに感じるが、二日しか経っていない。時間の流れに違和感を覚えたが、それを吹き飛ばすような友人がいたのだった。

弥生ちゃんはいつもより私の元気がないと悟ると、

「外で食べよー!天気いいし、ついでにオススメのパン教えてあげるよ」

と強引に私を外へ誘い出し、あの巧みな話術ですっかり元気にしてくれた。この子のこういうところが大好きだ。

私が「ありがとう」と言うと、彼女はいつも通りにやにやと笑って「何がー?」と言った。明らかに気づいているのに、それを絶対に言葉にしない。私はつくづく友人に恵まれている。

しかし運と先生には恵まれていないようだった。こんな時なのに先生に捕まってしまって、お手伝いを頼まれる。前回のことがあったので、予め部活が始まるまでと断ってお手伝いを始めた。それだけでも進歩だと割り切る。

先生も私に頼りきりなのを気にしていたらしく、今回私がきちんと部活までと断ったことで申し訳なさそうに謝ってくれた。一度謝って下さったのなら私から言うことは何も無い。お手伝いは嫌いではないし、また時間がある時に手伝いますね、と声をかけておいた。

廊下は走ってはいけないけれど、とにかく早くしないと間に合わないかもしれなかったので早歩きで体育館へ向かった。例の如く、遅れそうになることは月島くんに伝えているが、遅れないに越したことはない。

体育館の入口付近に三年生の皆さんが見える。先輩よりも遅く来るなんて論外だ。私も走って向かった。息が切れたが問題ない。

「お、遅れっましたっ」
「おっ揃ったな!」

頭を下げて体育館に入る。三年生の先輩方がいるということは、春高まで残ってくれるのだろう。少なからず安心した。

少しして烏養コーチが入ってくる。ミーティングで全員がコーチを囲むように座った。

IH予選優勝は白鳥沢だそうだ。この小さな県の中でも、まだ青城より上がいる。努力に努力を重ねなければいけなかった。

「……昔烏野が、一度だけ行った舞台だ」

東京オレンジコート。澤村先輩が重くそう言った。

「もう一度、あそこへ行く」

その決意に、目指すところがピンと光指したような気がした。ぐっと彼らを見つめ、小さく頷いた。

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作者名:ReG | 作成日時:2022年2月22日 21時

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