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「……うーん」

格好いいなあ、とコートを見て口の中で呟いた。ここで怯まずにツーアタックでやり返すのが、なんとも負けず嫌いの影山くんらしい。しかもきちんと決めるのだから困ったものだ。

まあその後及川さんに感化されたのか、サーブで盛大なホームランをかましていたけれど……。気持ちが早まるのは分からないではないが、少し落ち着いてほしい。ぐぬ、と悔しそうな顔の彼を見て苦笑した。

さて、その次は問題の及川さんのサーブだが、西谷先輩を狙って飛んできた。西谷先輩は綺麗に拾ったが、わざわざ彼を狙ってくるとしたらその理由は一つしかない。チーム全体にかかる精神的負荷を狙ったのだろう。

恐ろしい人だ、と思っている間に点数は動いていた。少し考えたり目を逸らしただけで追いつけなくなる。しっかり見なきゃと思ってコートをじっと見たところで、青城がタイムアウトを取った。

点差も離れていないこのタイミングでタイムアウトということは、恐らく気づかれたのだろう。本当に頭の回転が早いのだなと驚いた。

しかもこちらにとっては嫌な戦法を使ってくる。後衛にいる影山くんが飛び出すところを狙ってサーブを打ち取りにくくしたり、セッターである影山くんにファーストタッチをさせてトスを上げられなくしたり。とにかく試合に対する慣れと柔軟さが違った。

ここで及川さんのサーブだ。拾われると分かった以上、もう西谷先輩を狙いはしないだろう。次に狙われたのは田中先輩だった。田中先輩の腕に弾かれて尚威力の落ちていなかったボールに背筋が伸びる。

流れが持っていかれたらまずい、と思うと同時に烏野がタイムアウトを取った。考えが一緒のようでほっとする。影山くんも恐らく焦っていると思うし、何より一度落ち着かないとあのサーブを取れないだろう。

タイムアウト終了後、またしても及川さんのサーブが田中先輩を襲う。乱れないコントロールに驚く間もなく、上がったボールをダイレクトで叩かれた。二回目は正面だが、上がったボールはブロックで防がれる。

二回目のタイムアウトだ。バクバクと鳴る心臓を上から押さえつける。田中先輩なら恐らく流れを切れると思うけれど、どうしたって予想は予想でしかない。
だけれど、私のそんな希望的で稚拙な予想を本当にしてくれるのが彼らだった。

「う、わっ」

ブロックを打ち抜いた姿に思わず声が出た。流れを切って拳を握る姿に、「ナイスですっ」と声を上げた。

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作者名:ReG | 作成日時:2022年2月22日 21時

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