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勉強会三日目同様、四日目である今日も、帰りは彼に送ってもらった。
申し訳ないし、この時間に帰ることはよくあるから、と断ったのだが、彼は頑として譲らなかった。お姉様から言われたらしく、守らなかったら守らなかったで彼が怒られるそうなので、大人しく送ってもらっている。
教室の電気を消して鍵をかけ、職員室へと戻し、帰路を二人で歩く。
もちろん彼との間に会話はほとんどない。彼が私の前を歩き、私が隣にいないと気づくと前で振り返って待ってくれる。それを何回も繰り返しながら帰るのだ。
しかし今日はスムーズにそうは行かなかった。なぜなら、
「ふ、降ってきちゃった……」
「……土砂降り、だな」
雑貨店でノートを購入したところ、急な通り雨が私たちを襲ったのだ。ゲリラ豪雨とも言っていいほど強い雨が、ざあざあとアスファルトに打ち付けられている。私がノートを買うまで待ってくれていた彼も、呆然と空を見上げていた。
私達が困っているのは、他でもないこの雨のせいだった。今日の天気予報は快晴とのことだったはずなので、どちらも傘を持ってきていない。この雑貨屋にも傘は置いていないのだ。
いっそ濡れて帰るしかないと腹をくくると、隣にいる彼がおい、と私を呼んだ。
返事をする前に頭に何かがばさりとかけられる。困惑する私をよそに、
「それ、被って帰れ」
と、彼は告げた。よく見ると被せられたのは彼の制服の上着で、そんなことは出来ないと私は慌てて押し返した。気遣いは嬉しかったが、寒くなってきた今の季節では、彼がここから家まで帰るまででも身体は冷えきってしまう。
「ま、待って、大丈夫、大丈夫だから」
「いい。風邪ひかねえから」
「自虐……？そんな訳ないでしょう」
「じぎゃくって何だ」
「ああ、えっと、自分で自分を苦しめること……、いや、そんなのはいいから」
大丈夫、いいから持っておけ、とこの繰り返しをしている間にも雨は強くなっていくようだった。
彼も引き下がらないし、どうしたものかと考える。
「か、影山くん、お家はどっちの方向？」
「お前の家の手前の通りをギュンって行ってバッて曲がったとこ」
「う、ううん、なるほど……？」
分かりにくかったが、どうやら私の家よりも遠いようだった。
少し躊躇われたが、どちらも安全を確保するのであればこれしかない、と私は口を開いた。
「じゃあ、あの、家で傘と着替えを貸すから、寄っていって」
彼は驚いたように目を見開いて私を見た。
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作者名：ReG | 作成日時：2022年1月22日 18時
