赤薔薇の皇后【男主】 (ページ3)

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「パスポートは持ったなお前ら」

「はい」

あっという間に日本に行く日になり、ぼくたちはノアと一緒に空港にやってきていた。ふと後ろを見ると、警備員に抑え込まれている憐れなファンたちと群がっている報道陣。

ほとんどがノアとミヒャ目当てでやってくる。

(むう、ノアはともかく…ミヒャはぼくの婚約者だもん！)

隣を歩いているミヒャの腕に抱きつき、ファンに向かってべーっと舌を出して挑発してやった。ふん、ぼくからミヒャを奪い取るなんざ、一億年早いね。ぷいっと視線を前に戻した。

そんなAの行動を見てファンは悔しがるどころか、むしろ喜んで発i狂していた。感激のあまり、涙を流している者もいた。

(見た？！カイゼリンがカイザーの腕に抱きついたわよ！！)
(カイザーの満更でもない顔！カイゼリンの小悪魔な顔！好き！)
(私たちが死ぬ前に早く結婚してくれ…！)

ファンの心境を知らぬまま、Aたちは飛行機に乗った。

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出発まで残り5分。Aたちは決められた座席に座っていた。そんな中、座席に不満を漏らす輩がいた。

「いや、おかしくないか？」

そう言ったのはミヒャエル・カイザー。その隣に座っているアレクシス・ネスも同意するように「僕もそう思います」と言う。わなわなと震えながらカイザーはノアに向かって叫んだ。

「なんでAと離れてるんだ！！」

「イチャつくからだろチンカス」

カイザーの斜め後ろに座っているエリック・ゲスナーがズバッと言う。そんなゲスナーにネスは「お口悪いです」と注意する。

「ぼくもミヒャの隣がいい……」

「俺の可愛いAもそう言っている！」

「さっさと僕とAの席を替えてください」

ぎゃーぎゃーと言う彼らを見て、ノアは深いため息をついた。AのことになるとIQが下がるカイザーとネスは有名である。

隣同士にしたいのは山々だが、隙あらばイチャつこうとする彼らである。プライベートではまだしも、ここは公共の場で他の選手もいる。簡潔に言うとクソ気まずいのだ。

「……もうすぐで出発する。大人しくしておけよ」

「クソ指導者(マスター)！！！！！」

そう叫ぶカイザーからノアは逃げるように指定席に座った。

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