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誰かに話しかけよう。って毎日意気込むくせに誰にも話しかけられない日々が続く。
地方組の子はホテルに一緒に泊まったりしてて早く仲良くなってたし、もうみんな仲良し。私だけ浮いてる。あんなに不安そうな顔をしていた大園さんもすっかり安心した顔でお喋りしてる。
みんながこっちをちらちら見てくれてるのは知ってる。なのにお互い話すきっかけを掴めてない。そうだと信じたい。
もう先輩方への挨拶も終わって、あとちょっとでお見立て会なのに。
どんどん距離ができる感じがして怖い。
今日もレッスン室の隅っこで1人で読書。
どうしたらみんなと仲良くなれるんだろう。小中高一貫の学校だったから周りの人の変化が少なかったし、お仕事の時もあんまり仲良しになろうとした事がなかったから全然わからない。
美波「え、齋藤さん?!」
飛鳥「みんなの様子見に来てみた〜」
これまで何人かの先輩が三期の様子を見に来てくれたけど、1人で来た人は初めてな気がする。
飛鳥「あの、」
「はい」
齋藤さんは固まってるみんなと楽しそうにおしゃべりした後、端っこにいる私の所へ来た。
飛鳥「もしよければ、一緒にいてもいいですか」
突然の不思議な提案と真面目な齋藤さんのお顔で頷くしかない。
体操座りしてた私の横にちょこんと効果音が着くような動作で体操座りをした齋藤さんは何を話すことも無く、本当に一緒にいる、だけ。
飛鳥「小川さんとは全然比べものにならないけど、私も子役したんです」
「知ってます」
ぼーっとしてたら、急にポツリポツリと話し出す。
三期のみんなが不思議そうにこちらをのぞいてる。
飛鳥「小川さんは私なんか比べ物にならないくらい有名だから、乃木坂に入ってからいろんなことを言われてると思う。辛くない?」
「え、」
子役出身っていう共通点から何かお話しするのかと思ったら、話はまさかの急展開。
エゴサはしないでおこうと思っていてもどこからか聞こえてくる冷たい言葉。いちいち傷つくのも馬鹿馬鹿しいけど、無視できるほど強い心を持っていない。
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作者名:yurima | 作成日時:2024年2月6日 23時