30＿misa side ページ30
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京都の個別握手会の休憩時間。バックヤードをフラフラ歩いてたら死んじゃいそうなくらい顔色を悪くして自分のブースに隠れてる子発見。
美彩「どうしたのー？」
「え、あ、」
見つかると思ってなかったみたいですごく戸惑ってる。いつも人間離れしたような完璧さを持ってるから、そういう時もあるのか、体調が悪いか。
Aちゃん。元々知ってはいたけど、近距離で見るとより可愛くて困っちゃう。折れちゃうんじゃないかってくらい華奢で、そんな体で踊ってる姿を見るとどうしようもなく守りたくなる。
お姉さん組から重たい愛を受けてる。
美彩「みんなと話さないの？」
メンバーの休憩室で三期のみんなが楽しそうに話してたのに、Aちゃんはブースの下で体操座りしてる。
「ここが落ち着くんです」
どう見ても大丈夫そうではないよね。センターが決まって一ヶ月。MV撮影や神宮、雑誌撮影、ヒット祈願、昨日の逃げ水の初披露。当事者じゃなくてもわかるくらい毎日が目まぐるしく回ってるのはわかる。
振り入れ中、桃ちゃんが不安定な時とか、本当に同期なのかなってなるくらいAちゃんがお姉ちゃんに見える関係性でびっくりした。落ち着いててなんでもできる分、抱え込みやすい性格になっちゃうと思う。
美彩「お姉さん話聞くことはできるからさ、なんでも話して？」
私が隣に座ったら急に目をうるうるにして見上げられる。
美彩「どうしたどうした」
抱きしめて頭を撫でたら肩に涙が落ちてくるのがわかる。
美彩「辛かったね」
「もう、わかんないです」
握手会が始まってから一定数酷いことを言ってくる人がいて、選抜発表後はブログが誹謗中傷で溢れかえってしまった。今日はこれまでより増えて3人に1人は酷いことを言う。
話を聞いてて、何も悪いことをしていない17歳の女の子によくそんなことができるなあって逆に感心しちゃう。
美彩「Aちゃんは何にも悪くないんだよ。そういう性格の悪い人は地獄に落ちればいいのにね」
「え、」
地獄ってってケラケラ笑ってる。笑わせるつもりなかったんだけどな。
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作者名：yurima | 作成日時：2024年2月6日 23時
